今回は、ピッチショットについて。連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】とは……
【意外と難しいピッチショット】
パー5でティーショット、セカンドショットと会心の当たりが続き、ピンまで約50ヤードの状況。ナイスショットが打てればバーディーチャンスという状況で、あなたは自信を持ってピッチショットを打てるだろうか。
アマチュアゴルファーはグリーンに近づいたほうが有利だと考えがちだが、ピッチショットは距離が短いが簡単なショットではない。
2016年のマスターズ最終日、優勝争いをしていたジョーダン・スピースが12番パー3で、ティーショットの打ち直しとなる3打目のピッチショットをダフってクリークに入れ、そのホールを「7」として優勝を逃したことがある。
ピッチショットでダフって池ポチャという信じられないようなミスに思えるが、ツアープロでも無意識に微妙なインパクトの強弱が入ってしまうため、プレッシャーの下で自信を持って100ヤード以内のピッチショットを打つことは難しい。そのため、プロゴルファーは2オンできないパー5やハザードが絡むホールでは、無理にグリーン近くまで打たず、戦略的にフルショットできる距離を残すことがある。
ピッチショットの難しさは、距離に合わせてスイングの大きさを自分で調整しなければならないことだ。加えて、インパクトの強さで距離を合わせる動作が入りやすく、インパクトの強弱がバラつきやすい。その結果、距離のバラつきはもちろん、ヘッドが急加速したり減速することでダフりやトップのミスも出る。それに比べたら、毎回同じ振り幅でインパクトの強弱の差が出にくいフルショットをしたほうが、遥かに距離を合わせやすいんのだ。
【左に体重をかけ、左足を軸に回転】
ピッチショットはフルショットのようにボールを飛ばすわけではなく、アプローチショットのように寄せるだけでもない。フルショットとアプローチショットの間に存在するショットだと思ってほしい。
ピッチショットの打ち方を構え方から順に説明していきたいと思う。まず、クラブはサンドウェッジなどウェッジ系のロフトのあるクラブを選択する。アドレスは体が回転しやすいように左のつま先をやや開き、左足に体重をかける。ボールを遠くに飛ばす必要がないので、右足へ体重移動はせず、アプローチショットのように最初から左足に体重をかけて左軸で回転する。
ボールは真ん中からやや左よりに置くといい。ボールを右足周辺に置くと、リーディングエッジが地面に刺さるミスが出やすく、ダフリやトップの原因となる。手の位置は左太ももの内側あたりにくるようにして、若干ハンドファーストにセットアップをする。
次にスイングに関してだが、フォロースルーを意識するように気を付けてほしい。距離を打ち分ける際に、距離ごとにスイング幅を決める必要があるが、アマチュアゴルファーはバックスイングの大きさやインパクトの強さに意識が向かいがちだ。その結果、クラブヘッドをボールに当てて終わりというスイングになりやすく、フォロースルーがなくなってしまう。インパクトの強弱で距離を打ち分ける方法では、その時々の力加減によってクラブヘッドが強く当たったり、減速して緩んでしまうことがあるため、距離のバラつきはもちろん、ミスショットの原因にもなりやすい。
フォロースルーを意識し、バックスイングよりもフォロースルーを大きくするように心がけることで、スイング軌道の中でヘッドを加速させながらボールをとらえることができる。それにより、自分の意志でインパクトの強弱をつけにくくなり、距離感のバラつきを抑え、ミスショットを防ぐことができる。
振り幅やスイング軌道をイメージするときのコツとして、ダウンスイング初期を「入口」、フォロースルーで打ち終わった位置を「出口」として意識することで、スイング軌道の中でヘッドを加速しながらボールをとらえることが可能になる。
フルショットと同様に、腕と体の同調性が重要なのはピッチショットも変わらない。両脇を締め、両肘と胸にできた3点の空間を変えないようにスイングをするようにしてほしい。腕を振る手打ちスイングにならないようにすることが大切だ。
ピッチショットに自信がつけば、パー5の3打目を楽に打てるようになるはずだ。再現性の高いピッチショットを身に付けて、バーディーチャンスを増やしてほしい。
連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】とは……
世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子によるゴルフレッスン。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。