GOLF

2022.08.06

スイング改善効果もあり! パー5の2オンを実現する"直ドラ"の打ち方

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子による、【連載 吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】204回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。【過去の連載記事】

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎によるゴルフレッスン。

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【適切なスイングをしないと直ドラは当たらない】

プロの試合を見ていると、距離のあるパー5のセカンドショットでドライバーを選択する選手を見かけることがある。ティーアップせずに、地面にあるボールを直接ドライバーで打つ、いわゆる「直ドラ」だ。米ツアーに参戦中の渋野日向子選手がパー5の2打目で度々直ドラを披露しているので、実際に試してみたことがある人もいるだろう。

プロはいとも簡単に直ドラを打っているように見えるが、難易度の高いショットのため、プロでもフェアウェイからドライバーを打てる場面は限られる。傾斜がなく、ボールが芝に浮いていることが必須条件だ。ボールが沈んでいたり、傾斜が強い場所では、ミスショットの可能性が高くなる。もちろん、スイングの調子がおかしいと感じるときはやめたほうがいいだろう。

なぜ、直ドラが難しいのかというと、ドライバーはロフトの角度が一般的に9~11度と立っているためボールを上げにくく、クラブが長いこともありミスヒットが起きやすい。クラブにロフトがないため、ボールを上げたくなりアッパー軌道になることで手前をダフりがちだ。適切な入射角でスイングしないとナイスショットを打つことは難しい。

ただ、裏を返せば、難しい直ドラが打てれば、適切なスイングになっている状態といえる。直ドラの練習をすれば、振り遅れを解消できるし、入射角も安定するので効率的なスイングを身に付けることにつながる。直ドラは難しいと感じている初級者や中級者にとっても、スイングを改善する効果のある練習なので試してみてほしい。

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【右手1本の素振りからはじめる】

直ドラを練習するときに重要になるのは右サイドの動きだ。右腕は体と同調させながら適切な軌道でクラブを下ろし、ソールを滑らせるようにして緩やかな軌道でボールをとらえることが重要だ。

その感覚を身に付けるために、ボールを打つ前に、右手1本で素振りをする練習から始めてみよう。

一見簡単そうに見えるが、右腕と体の同調性が崩れたり、ダウンスイングで右腕を体に引き付けると、振り遅れてダフってしまう。右手でボールを打ちに行くと、アウトサイドから急角度にクラブが下りて地面をたたいてしまい振り抜くことができない。まずは、右手1本でクラブが地面にぶつからないように、振りきることができるようにしたい。

右手1本の素振りでは、グリップエンドに近い位置でクラブを握るようにしてほしい。ドライバーを長く持つことで、適切なスイング軌道でスイングをしなければ振り抜けないため、軌道を修正する練習として効果的だ。

素振りの際に気を付けてほしいのは、右手に力を入れすぎず、クラブの重さに任せて振ることだ。ダウンスイング初期ではクラブの重みを感じ、飛球線後方側にクラブを下ろすようにする。右手の小指方向にグリップエンドを動かすイメージを持つといいだろう。

ダウンスイング後半では、クラブが右腰あたりにきた時にリリースをし、クラブヘッドを走らせることでクラブが適切なインパクトを迎えることができる。

右手1本で素振りができるようになったら、両手でクラブを握って実際にボールを打ってみよう。最初はクラブを短めに持って、コンパクトに振ることから始めてみてほしい。振り幅は、腕が地面と平行になる程度のハーフスイングから始め、ボールをしっかりとらえることを主眼とした練習を行う。

小さい振りでボールをとらえることができるようになったら、いつも通りのスイングに移行する。その際にボールの上半分を打つイメージで行ってほしい。直ドラではダフると距離が出ないので避けなければいけないが、トップは距離が出るので大きなミスにはならない。フェアウェイバンカーと同じイメージで、多少薄く当たることは許容して打つといいだろう。フルスイングでダフらずにボールをクリーンにとらえられるようになったら、適切なスイングができるようになっている証拠だ。

アマチュアゴルファーの場合、直ドラは練習だけにとどめて、実際のコースで試すのはあまりおすすめしないが、どうしても距離を稼ぎたいというときのために、コースで直ドラを打つときの注意点を伝えておこう。

まず、練習場のマットの上のボールをうまく打てても、コースで同じようなボールを打てるとは限らない。マットは滑るので、少しくらいダフってもミスにはならないが、芝の場合はそうはいかない。3割くらい成功率が落ちると考えておいたほうがいいだろう。

そして、直ドラの場合はボールの弾道が低いので、ボールを上げなければならない状況には向かない。池やOB越えの場合は危険なので避けたほうがいいし、左右にハザードがあるプレッシャーのかかる状況でもやめておいたほうがいいだろう。距離を稼ぎたい気持ちはわかるが、グリーンまでハザードがなく、平坦で安全な状況でのみ直ドラを打つようにしたほうがいいだろう。

まずは、直ドラの練習で正確なスイングを身に付け、自信がついたらイーグルを狙って直ドラに挑戦してみるといいだろう。

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TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林 司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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