世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子による、【連載 吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】200回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。【過去の連載記事】
【タイガー・ウッズも繰り返し行う練習法】
2022年4月のマスターズで、交通事故の怪我から奇跡の復活を遂げたタイガー・ウッズ。しかし、完全復活したというわけではなく、事故によって粉砕骨折した右脚の痛みと闘いながらのプレーを余儀なくされている。マスターズでは起伏の激しいオーガスタナショナルGCを4日間戦い抜いたが、5月の全米プロでは3日目を終えて棄権。6月の全米オープンも欠場することになった。
タイガー・ウッズは7月4日~5日にアイルランドで開催されたプロアマのチャリティイベント「JPマクマナス・プロアマ」に参加し、その後7月14日から開催される全英オープンに出場する予定だ。今年の全英オープンが開催されるセントアンドリュースオールドコースは、起伏の少ないフラットなコースなので脚への負担は少ないだろう。タイガー・ウッズは、セントアンドリュースオールドコースで開催された全英オープンを2000年と2005年の2度制しており相性がいい。脚の状態次第では、優勝争いに絡む可能性もあるだろう。
そのタイガー・ウッズがよく行うシャドースイングの練習がある。スクワットのようにお尻を後ろに引き、ダウンスイングの動きを確認する練習だ。ボールがつかまらなかったときなどに、ダウンスイング初期に体を沈み込ませることで、スイング中の前傾角度を保てるように調整をしている。
スイング中に前傾角度をキープできない人は、ダウンスイングの早い段階から体が伸び上がってしまうことが多い。ダウンスイングの初期に体が伸び上がると、振り遅れや手打ちとなり、ボールが曲がる原因になるだけではなく、飛距離もロスすることになる。
ダウンスイングで体を沈み込ませるとダフりそうだと感じる人もいると思う。しかし、ダウンスイング初期に沈み込んでも、地面反力によって体が伸び上がりながらインパクトを迎えるため、ダフることはない。実際にトッププロの切り返しで、頭が1個分下がっているケースもある。タイガー・ウッズのようなトッププロでも、インパクトで体が浮き上がってしまうことがあるため、ダウンスイングで前傾角度を深くする動作をしっかり意識して身に付けておく必要があるのだ。
【骨盤を前傾させる】
タイガー・ウッズが行うシャドースイングは極めてシンプルだ。クラブを持たずに、お尻を後ろに引くように骨盤を前傾させてダウンスイング動作を行う。この動作は少し大げさに感じるくらい、極端に大きな動きで行うことが大事になる。実際のスイングでは、シャドースイングほど低く体を沈み込ませることはできないが、動作を極端に大きく行うことで体にダウンスイングの感覚を身に付けることができる。
ただ、体を沈みこませるといっても、膝を曲げたり、上半身だけ前に倒したりしてはいけない。お尻を突き出すように、骨盤を前傾させながら行うことが大切だ。膝の位置は変えず、骨盤の動きによって上半身が動かされることを意識しながら前傾角度を深くするようにしてほしい。最初はクラブを持たずにシャドースイングを行い、慣れてきたらクラブを持って同じ動作を行ってみるといいだろう。
この練習を繰り返せば、ダウンスイングで体が伸び上がらず、方向性が安定するはずだ。どこでもできる練習なので、普段の練習で行うのはもちろん、コースに出る前やプレーの合間に行って体の動きを確認してほしい。