世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム189回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。連載「吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン」はこちら。
【左足を踏み込んだままでは地面反力を生かせない】
地面反力を使ってスイングできるようになると、ヘッドスピードがあがり、ボールを遠くに飛ばすことができようになる。特に、今まで速く振ろうと力任せにスイングするなど、非効率なスイングをしていた人は飛距離の伸びしろが大いにある。今までゴルフメディアの取材で30ヤード飛距離を伸ばしたり、60歳以上のアマチュアゴルファーの飛距離を20ヤードアップさせるといった結果を残してきたが、地面反力の原理とティーチングノウハウを学ぶことができれば誰にでもできることだ。
皆さんの中には雑誌や動画を参考にして、地面反力を使ってボールを飛ばそうと練習に励んだ経験がある人も少なくないはずだ。しかし、地面反力を使って飛ばそうと練習に取り組んでも上手くいかないケースがある。飛距離を伸ばすどころか、「地面反力を使って打つとボールの手前でダフってしまい、飛距離を伸ばすどころかミスショットだらけでゴルフにならないですよ」などという嘆き節を聞くことがある。うまくいかないのは、地面反力が悪いわけではなく、地面反力を生かす方法が適切ではないからだ。このような問題が起きる人は、左足の使い方に問題があることが多い。
地面反力というのは、地面から跳ね返ってくる力のことだ。作用・反作用という力の仕組みを学校で習ったことがあると思うが、地面を踏み込めば、同じ力が地面から逆方向に返ってくる。だから、強く踏み込めば踏み込むほど、強い力が返ってくることになり、その力を利用することでスイングスピードも上がるというわけだ。
ゴルフスイングにおいて、地面反力を使うときに重要になるのは、切り返しで左足を踏み込む動きだ。ダウンスイングで左足を踏み込み、返ってくる力を使って体の回転速度を速めることができる。
ところが、左足を踏み込むことばかりに意識を集中しすぎると、いつまでも足で地面を押している状態になってしまい、インパクトで反力を使うことができない。左足を踏み込んだままインパクトを迎えたほうが力が出せるような感覚になるが、実際は飛距離を伸ばすことができないだけではなく、ミスショットの原因となってしまうのだ。
【左足の力を抜くことで肩の縦回転を加速させる】
切り返しで地面を押したら、次は返ってくる力を生かさせなくてはならない。地面反力を上手に生かすためには、左足を踏み込む動きとセットで、左足の抜重動作を覚える必要がある。
抜重というのは、上に向かう力に合わせて自分の重みを抜いていくことだ。抜重ができることで、地面反力によって左ひざが伸び、左足が浮くような動きになる。ジャンプをする時、沈み込んで地面を押したあと、その反力によって飛び上がった時に体が軽く感じると思うが、抜重動作ができていると同じように自分が軽くなった感覚になる。
この抜重動作をすると、人によっては力が入らず、飛ばないような感じがすると思う。伸び上がって、まともに当たらないのではないかと心配する人もいるかもしれない。そのような人は、この縦に向かう地面反力によって「前後軸」が回転するということを理解する必要がある。
前後軸の動きは、肩の縦回転などと言われ、パッティングのショルダーストロークのように肩が上下する動きだ。ダウンスイング後半で地面反力が上に向かうことで、前後軸が回転して右肩が下がる動作を促進する。これとは逆に、左足を踏み込んだままでは、右肩を回転させることが難しくなる。この地面反力と肩の縦回転をセットで覚えることができれば、地面反力をスイングスピードに変換することができる。
この左サイドと前後軸の動きを連動させるために、左腕が地面と平行になったあたりからスイングをスタートさせる練習が効果的だ。まず、左腕が地面と平行になったポジションをとり、左足を踏み込む。そこから、左足にかけた力を上方向に抜きながら左膝を伸ばしていく。すると、右肩が下がり腕とクラブも下りてくる。左足の踏み込みと抜重によって、肩の縦回転が連動するというシステムができあがることで、速くスイングすることができるようになる。この練習では、腕でクラブを下ろそうとせず、左足の動きと軸回転の連動によってクラブを動かす感覚を身に着けてほしい。
ぜひ、左足サイドと軸回転を連動させてスイングする感覚を身に付け、力強いスイングを手にしてほしい。