世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム183回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
【体の回転で打つ感覚を身につける】
パッティングで距離感が合わないという人は、手打ちになっていることが多い。繊細な動きが可能な手の動きに頼ったスポーツもあるが、ゴルフの場合は毎回同じ動きを求められることが多く、末端部分の器用さはかえって邪魔になることがある。
手打ちパッティングにならないようにするには、体と腕をシンクロしてストロークを行うことが大事になる。特に、胴体部分の「胸郭(きょうかく)」を中心とした回転によって腕が動く「振り子型ストローク」を行うことで再現性の高いパッティングが可能になる。そのような動きを身に付けるのに有効なのが、片手打ちのパッティング練習だ。
ショットやアプローチの片手打ち練習は聞いたことがあるかもしれないが、パターの片手打ちはどうだろうか。パターの片手打ちはアイアンやウエッジより比較的やさしいし、広い場所も必要ない。この練習は小さい振り幅で行うので、ショットやアプローチの基礎練習として、体の回転を使ってクラブを振るイメージを身に付けるのに役立つ練習だ。
【脇を締め、腕を振らない】
片手打ちは手や腕を使って行う練習だと思っている人がいるかもしれないが、逆に手先の末端部分を使わないことが大事になる。特に、手首の角度と腕の動きには気を付けてほしい。
右利きの場合、右手を使いすぎて右手首が手のひら側に折れてしまうことがある。手首が手のひら側に折れることで、ロフトが付きすぎて転がる距離が短くなってしまう。そのため、ストローク中の手首の角度は変えないようにすることで、ロフトを一定に保ち距離を合わせることができる。
腕の運動量が多くなると、手元が必要以上に動いて軌道が安定しなくなる。腕は振らずに胸郭の回転で「腕が動かされる状態」にすることで、体と腕をシンクロしてストロークの再現性が高まる。腕はその場に留めておくイメージでも、胸郭が動けばその動きにつられて自然と腕が動くのだ。
片手打ちのパッティング練習を行う際、最初はパターを持たずに片手でシャドースイングをしてみよう。この時、肩は大きく動かさないよう気をつけてほしい。ショルダーストロークという言葉があるが、肩関節だけを上下動させたり、体を傾けながら肩を動かそうとしないように注意が必要だ。胸郭と呼ばれる肋骨周辺を回転させることで腕を動かすようにしてほしい。
右手でシャドースイングをする際、腕を振らないようにするために、左手で右腕を押さえて行ってほしい。腕を動かすことができなければ、必然的に体を動かさなければならないため、胸郭の動きを使ってストロークを行うことができる。
シャドースイングを左右とも片手で行い、イメージをつかめたら実際にパターを片手で持って同じ動作を行ってみる。このとき、気をつけてほしいのはパターの持ち方だ。後方から見て、前腕とパターを1本の棒のように一体化させてほしい。グリップは指ではなく、生命線に沿って手のひらで包むようにパームグリップで握ることで、腕とパターの一体感が増す。
シャドースイングで行ったように、片方の腕でパターを持っているほうの腕をつかむと、腕の動きすぎを防げる。特に、利き手を使いすぎてしまう傾向があるので、利き手で練習する際は腕が動かないイメージを持って片手でストロークしてみよう。
右利きの場合、使い慣れていない左手でパッティングをすると、パターの重みで腕がフラフラしてしまうことがある。左手のストロークが安定しないのは、腕だけでクラブをコントロールしているからだ。左脇を締めて体と腕が同調するように気を付けてほしい。脇を締め体の動きでストロークすることで、手首や腕に頼らないストロークができるようになる。
片手のパッティング練習によって、体を使ったストロークを身に付ければ、イメージに近いボールを転がせるようになる。上半身と腕の同調性が良くなることで、他のショットにも良い影響が出てくるはずだ。