GOLF

2022.02.09

アマチュアゴルファーが陥りやすい勘違い──連載「吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン」

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎。顧客の多くが国内外のエグゼクティブ、有名企業の経営者という彼による、スコアも所作も洗練させるための“技術”と“知識”を伝授する最新ゴルフレッスンコラムをまとめて振り返る。まだまだ厳しい寒さが続くが、ゴルフシーズン到来に向け、コソ練を積み重ねてスコアアップを目指したい。

ゴルフアマチュアのテークバックの正解はゆっくり? 早く?

吉田洋一郎
ペンで字を書くときにゆっくりお手本をなぞるように動かすのと、一定のリズムで素早く動かすのではどちらが美しい字を書けるだろうか。一般的に「ゆっくり動かすこと=丁寧」というイメージがあるためか、前者のほうが美しくなると思う人が多い。しかし実際にはほとんど差はない。それどころかやってみると分かるが同程度のクオリティになることはあるものの、ゆっくり動かしたほうが美しくなることは稀だ。

これは人間の手先の器用さに関係している。物を触る、つまむ、握るなどさまざまな微細な動きが可能な人間の手。この器用さが字を書くという一連の動作で、あだになることがある。「ゆっくり丁寧に」という動きに意識を集中しすぎると、筋肉が硬直し、意図しない小さなアクションが入ってしまうのだ。力を一定に保てず線が寄れてしまったり、筆圧にムラが出たりする。

スイングも同じことがいえる。テークバックをゆっくり上げると、意図した位置にクラブを動かせそうなものだが、実際のスイングではそうはならない。ゆっくり上げることでクラブ、手、腕、体が全て同じ運動量になったり、クラブヘッドの勢いが足りずに手元ばかりが先行してしまうなどの問題が生じ、正しい軌道を外れてしまう可能性が高い。

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ゴルフレッスン動画の探し方――検索順位も再生数もあてにするな!

吉田洋一郎

YouTubeでレッスン動画を見て、参考にしている人は多いのではないだろうか。無料でしかも動画でレッスンを受けられるというのは何とも恵まれた時代だと思う。スマホ1台あればどこでも閲覧ができるので、練習中やラウンドの昼休憩など、悩みが発生したタイミングでチェックできてしまう。情報を取得するのは良いことだし、その中で気づきになるポイントがあればラッキーだ。しかしWEBで技術的なレッスンを“受ける”場合、注意しなくてはいけないことがある。それは「誰が発信しているか」という点だ。

例えば検索窓に「ドライバー ドロー」と入れると関連の動画が見きれないほど出てくる。一見、多くの中から選ばれたものが検索結果の上位にあり信頼性が高いように見える。検索結果以外で出てくる関連動画でも、再生回数が数万回を数えているものは同じように信頼度が高いように感じてしまう。しかしこれらはYouTubeのアルゴリズムが、検索者の嗜好を判断して自動抽出しているにすぎない。再生回数が多い動画も、多くの人に再生をされるように対策をしているため、その回数が伸びていると言える。

つまりYouTubeの場合、よく目についたり多くの人が見ていることと、内容の信頼性には関連性はない。だから、動画レッスンを見る際には教えてくれる人がどんな人なのかをきちんと確認してほしい。きちんと技術的な裏付けをもって語っているのか、それを取り入れることで起こる変化を理解している人なのかという点だ。

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ショルダーストロークのパットでミスを生まないイメージ法とは?

吉田洋一郎

パッティングにはいくつかのストローク方法があるが、その一つがショルダーストロークだ。手先でパターをコントロールするのではなく、腕と上体が一体となってクラブが振り子のように動くストロークを指す。正面から見たときに体の中心が軸となって両肩が上下して天秤のように動く。この体の動きによってパターヘッドの軌道はバックスイングで少しインサイド、フォローでは再度インサイドに動くイントゥイン軌道となる。

しかしショルダーストロークと言いながらも、肩を動かすイメージはミスを生む原因となる場合がある。肩を上下動させるイメージを持つことで過剰な上下動の動きとなり頭や下半身の位置までブレてしまう。そうすると天秤の中央にあたる軸の部分が固定されないため、パターの動きも安定しない。

よく両わきにクラブやグローブをはさんで、肩の動きのみでパターを動かそうとする練習をしている人がいるが、これは軸が動きやすくなってしまう可能性があるので注意してほしい。

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TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林 司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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