世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム26回目。顧客の多くが国内外のエグゼクティブ、有名企業の経営者という吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
ゴルフ動画を選ぶ際に、注意すべきこととは
YouTubeでレッスン動画を見て、参考にしている人は多いのではないだろうか。無料でしかも動画でレッスンを受けられるというのは何とも恵まれた時代だと思う。スマホ1台あればどこでも閲覧ができるので、練習中やラウンドの昼休憩など、悩みが発生したタイミングでチェックできてしまう。
情報を取得するのは良いことだし、その中で気づきになるポイントがあればラッキーだ。しかしWEBで技術的なレッスンを“受ける”場合、注意しなくてはいけないことがある。それは「誰が発信しているか」という点だ。
例えば検索窓に「ドライバー ドロー」と入れると関連の動画が見きれないほど出てくる。一見、多くの中から選ばれたものが検索結果の上位にあり信頼性が高いように見える。検索結果以外で出てくる関連動画でも、再生回数が数万回を数えているものは同じように信頼度が高いように感じてしまう。しかしこれらはYouTubeのアルゴリズムが、検索者の嗜好を判断して自動抽出しているにすぎない。再生回数が多い動画も、多くの人に再生をされるように対策をしているため、その回数が伸びていると言える。
つまりYouTubeの場合、よく目についたり多くの人が見ていることと、内容の信頼性には関連性はない。だから、動画レッスンを見る際には教えてくれる人がどんな人なのかをきちんと確認してほしい。きちんと技術的な裏付けをもって語っているのか、それを取り入れることで起こる変化を理解している人なのかという点だ。
しかし名前を知っている人ならまだしも、そうでない人はどんなパックボーンがあるのかを見極めるのは難しいだろう。もしかしたらただのゴルフ好きな素人かもしれないし、アクセス数を稼ぐためにメディアに出ている二次情報、三次情報を伝えているだけかもしれない。誰でも好きなことを言える珠玉混合の場であることを認識したうえで情報収集をしてほしい。
前提を見極める力が必要! これはゴルフ専門メディアでも同じこと
ではどうすれば“ハズレのない動画”を引く事ができるのか。それは出演者の信頼性を確かめたうえで、動画が誰に向けられたものかを確認するのがよい。対象は100切りくらいのレベルなのか、スライサーかフッカーか、スライサーであればプッシュスライスかカットスライスかなどなど。自分が対象になっているもののみをチェックしておけば大きなハズレはない。逆に自分に向けられていないレッスンの内容をスイングに落とし込んでしまうのは危険だ。
そのために自分の課題は何なのか、課題を克服するためにどのような情報が必要なのかを明確にしたい。
カットスライスになる傾向になってしまう人は、ダウンスイングをインサイドから下ろす方法を調べると思うが、更に一歩進んで自身の原因と思われること(例えば上半身の力を抜く方法)に焦点を当ててみると良いヒントがあるかもしれない。
YouTubeに動画をアップしている人たちは皆、自信満々に語っているのでついつい信じてしまう。しかし、何となく良さそうな打ち方を取り入れるのではなく、自分に必要な情報に絞ってリサーチをしてほしい。
これはゴルフの専門メディアでも同じことが言える。例えばゴルフ雑誌を見てみると、号は違えど正確な球を打つために「左手リードがいい」という企画もあれば「右手でコントロールする」という企画もある。これはどちらかが間違っているという事ではなく、届けている対象が違うのだ。右手を使いすぎて軌道が定まらないゴルファーは左手の意識を持ったほうが軌道が安定しやすいし、軌道が定まっている中上級者は右手の感覚を加えることでコントロールが高まる場合がある。だから雑誌やウェブ記事を読む際も、これは誰に届けているものなのかという「前提」をしっかり見極めてほしい。
ちなみにこの記事は、ゴルフに真剣に取り組み効率的な情報収集をしてスコアアップを目指しているゴルファーに届いてほしいと思っている。インプットは毒にも薬にもなるので、見極めをしっかりして取り入れてほしい。