GOLF

2022.02.03

ミスショットを誘発する行為とは?──連載「吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン」

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎。顧客の多くが国内外のエグゼクティブ、有名企業の経営者という彼による、スコアも所作も洗練させるための“技術”と“知識”を伝授する最新ゴルフレッスンコラムをまとめて振り返る。まだまだ厳しい寒さが続くが、ゴルフシーズン到来に向け、コソ練を積み重ねてスコアアップを目指したい。

ゴルフでは、ミスショットは身体ではなく頭が生みだす

吉田洋一郎

みっちり練習をして練習場では、10球に8球の確率で課題としていることができたとしよう。でもそれがラウンドでは10球に2球程度しか成功しなかった。そんな経験は誰しもがあるはずだ。では、この60%の乖離は何から生まれるのだろうか。

要因は大きく3つに分けられると考えている。

1.緊張
2.高低差やライ、風といった外部環境
3.考えすぎによるミスショット

1は場馴れをするしかない。ラウンドの経験を増やすことと、知らない人と一緒にプレーする回数をこなして自信をつけていこう。

2は、以前オススメした「練習ラウンド」を増やすことで経験値がたまっていく。経験値がたまれば、そもそも平らな場所からしか打てない練習場とは成功の確率は異なるということを、体感値として把握できるだろう。よってこれもある程度の経験によって埋まってくる。

もっとも大きな問題は、3の「考えすぎ」だ。これは1や2の経験がどれほどたまっても、それを打ち消してミスショットを誘発してしまう可能性がある。一方で3だけは自分の力で解決することができる要因だとも言える。そう、考えるのを止めればよいのだ。

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「残す」と「残る」の違いがナイスショットの分かれ目

吉田洋一郎

ゴルフ雑誌や動画で、プロゴルファーのスイングを見て研究をしている人も多いのではないだろうか。プロの動きを見るのはとてもよいことだ。最初はなんとなくでよいので「こんなふうに振りたいな」というプロのスイングを探し出して、何度もチェックするとよい。

「人は見た目が9割」などと言われるように、われわれは視覚から非常に多くの情報を得ている。繰り返し見ることでプロのスイングの形が脳に刷り込まれ、自分のスイングが補正されていくこともある。試しにトイレの壁やベッドの天井などに貼って、半年ほど見続けてみてはどうだろうか。

さて、その連続写真でプロが必ず守っている「お約束」がある。ボールの位置より目標側に頭が出ない「ヘッド・ビハインド・ザ・ボール」だ。

スイング中、クラブヘッドには大きな遠心力がかかっていて、それがヘッドスピードを速くするための一つの要素でもある。この遠心力を小さくしないためには、力がかかっているクラブヘッドと逆の方向に引っ張り合う動きが必要だ。松山英樹のインパクトが分かりやすい例だが、頭が残り顔の方向は目標とは逆方向を向いている。クラブヘッドと反対の方向に力を向けることで、遠心力を最大化しているのだ。

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ゴルフで新理論を試してもスコアにつながらない理由

吉田洋一郎

私はアマチュアに個人のレッスンも行っている。ありがたいことにこうしてメディアで取り上げてもらえるためか、「吉田に習いたい」とご指名をいただくことも多い。そういった人たちからは、「これまでレッスンを受けてきたが上達につながらない」というフレーズをよく聞く。もっとも多い人でこれまで30人以上のコーチに習ってきたという人もいた。

「吉田なら何とかしてくれるだろう」という思いがあるようだ。

私も多くのコーチと同様にレッスン前にヒアリングを行う。そのなかで気になるのは、「いろいろ試している」かどうかということだ。

ビジネスをはじめ一般的には、トライ&エラーを繰り返すことで成長につながる。おそらく情報感度の高いビジネスマン諸兄は日常的に多くの情報をインプットし、筋のよさそうなものを「まずはやってみる」という事を繰り返しているはずだ。しかしことゴルフスイングに関してはこの「トライ&エラー→成長」という公式が当てはまらない。

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TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林 司

COOPERATION=トータルゴルフフィットネス

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