GOLF

2022.01.15

今さら聞けない! グリップの握り方のコツ──連載「吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン」Vol.175【動画解説】

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム175回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。

【フィンガーグリップとパームグリップ】

ゴルフを始めたとき、たいていの人は最初にクラブの握り方を教わったと思う。ゴルフスイングの入門書ではクラブの握り方である「グリップ」から教えるように、体とクラブの唯一の接点であるグリップはゴルフの基本中の基本だ。だが、基本というものは案外見落とされがちで、適切にクラブを握れていないアマチュアゴルファーは少なくない。ゴルフのグリップは普段の生活では使わない指の使い方をするので自然にできるものではなく、練習を繰り返さなければ身につかない。また、習得したと思ってもボールを打っている間にいつの間にか乱れてしまうことも多い。なかなか上達しないと悩む人の中には、自己流の非効率なグリップになっている人も多いので注意してほしい。そこで、今回は基本に立ち返り、グリップの握り方を確認したいと思う。

グリップを握る際、「左手こぶしのナックルが2個見えるように」などとアドバイスを受けたことがあるかもしれないが、手を被せる(フックやウィーク)の度合いは個人差があるのでここでは省略し、手のどの部分で握るのかを確認していきたい。グリップを握る方法には大きく分けると2種類あり、自分がどのようなスイングをしたいかによって選択することが大切だ。

1つめのグリップは「フィンガーグリップ」と呼ばれる握り方で、呼び名の通り指でクラブを握る方法だ。左手の小指の付け根から人差し指の中間にかけてクラブを当て、指を引っかけるような形で握り、そこから手のひら全体をグリップにかぶせていく。右手の握り方も同様に指で握る。フィンガーグリップは手首を使いやすく、ヘッドを加速させて飛距離を出したい人に向いているグリップだ。

もう1つは「パームグリップ」と呼ばれる手のひらで握るグリップだ。左手の人差し指の付け根から小指球(小指側の手の付け根)にかけて手のひらで握る方法だ。パームグリップは手のひらで握るため手とクラブの接地面積が多くなり、腕とクラブを一体化させやすいメリットがある。しかし、手首の自由度が少なくなるためヘッドを走らせることには向いておらず、飛距離よりもスイングの再現性を高め、方向性を重視したいという人に向いているグリップだ。

このように、スイングに対する考えによってどちらかのグリップを選べばいいのだが、どちらかといえば、手首を柔らかく使ってヘッドを走らせたほうがスイングの効率性が良いと言われている。最初はフィンガーグリップを身に付けたうえで、「ボールの方向性が安定しないので、スイングの再現性を高めたい」などと考えれば、パームグリップを試してみるとよいだろう。

【力を入れる指と力を抜く指を覚えよう】

グリップでもう1つ重要なのは、握る指の強さ「グリッププレッシャー」だ。よく、グリップがすり切れるのではないかと思うほど、力を入れてクラブを握っている人を見かけるが(実際に右手のグリップ部分が擦り切れている人もいる)、それでは腕や肩に余分な力が入ってスムーズなスイングはできない。だからといって、力を緩めすぎるとクラブを支えることができなくなるので、力を入れる指と力を抜く指を分け、メリハリを付けて握ることが大切になる。

右利きのスイングにおいて、左右どちらの手をしっかり握るのかという質問を受けることがあるが、その答えは左手だ。特にグリップエンドはクラブを動かす際の支点となり、遠心力が働くので小指、薬指、中指の3本の指でクラブをコントロールする必要がある。また、左手の親指と人差し指はトップでクラブを支える役割があるので、指の付け根を締めておく必要がある。親指と人差し指の付け根が開いていると、クラブを支えきれずにオーバースイングになってしまう可能性がある。

一方、利き手となる右手は放っておいても力が入るので、力まないようにすることが大切だ。特に右手の親指と人差し指は普段の生活で使うことが多く、無意識に使ってしまい手打ちの原因になることがある。右手はクラブに添えるだけにして、スイングを邪魔しないようにしておいた方がいいだろう。

右手は中指と薬指の2本でクラブを支えれば十分だ。2本の指でしっかりとグリップし、左手と同じように親指と人差し指の間を締めてクラブを支えれば、それ以上の力は必要ない。特に使い慣れた右の親指と人差し指に力を入れる必要は全くない。むしろ、力を入れるとダウンスイングでボールを打ちにいく動きが出やすくなり、クラブがアウトサイドから下りてくる原因となるので気を付けたい。

また、右手と左手に入れる力のバランスも重要で、クラブを動かす際に支点となるグリップエンドに近い左手の意識を強くすることが大切だ。使い慣れている右手は、意識をしなくても自然に力が入るので、感覚的には左手が8割、右手が2割の配分でちょうどいいだろう。左手を使うことに慣れていない初級者であれば、左手が9割、右手はクラブに添えるだけの感覚でも十分だ。

ゴルフのグリップは、日常動作では使わないような手や指の使い方をするため、身に付けるのに時間がかかるうえ、気づかぬうちに変な癖がついてしまうこともある。初級者に限らず、中級、上級者もいつの間にかグリップが狂っていることがあるので、冬の間に基本に立ち返ってグリップを確認してみよう。

 

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林 司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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