第一線で活躍するトッププロが愛用するゴルフクラブや高機能なゴルフウェア。名品の陰には匠の存在がある。
東京ゴルフスタジオ・ツアープロコーチ 森 守洋
勘違いには悪い意味といい意味両方あるが、堀琴音プロが持つのは後者。堀は優勝経験こそないが、2014年にプロ転向してからは順風満帆にトップ選手としての地位を築く。
だが、’18年に突如不振に陥る。一気にファンやスポンサーが離れ「堀琴音は終わった」とまで言われた。その頃から堀のコーチを務める森守洋はトップ選手が再び這い上がるのは相当難しいと言う。ただ、堀は持ち前の"勘違い力"で奇跡を起こす。
そもそも堀は今シーズンの出場資格を持っていなかった。推薦出場した3月のダイキンで約2年ぶりの予選通過を果たした時のこと。たった一回の予選通過だけで、負のイメージを押しのけ、自分はトップ選手だと思いこみにも似た自覚をしたのだという。そこから一気に"勘違い力"が加速。6月のアース・モンダミンで4位に入賞した。
森がおめでとうと伝えると「4位でおめでとうってあり得なくないですか」とキレられた。約2年半もほぼ一銭も稼げていなかった人の言葉とは信じ難かったと振り返る。
そして7月のニッポンハムレディスでその"勘違い力"は初優勝という大きな結果を残した。いい意味で勘違いすることで人間は実力以上の力を発揮する。もちろん土台となる実力があってこそだが、我々アマチュアも"勘違い力"を使えると言う。
「成功体験を積むこと。無理に青ティで回らず、前から回ってまずはよいスコアを出す。これが堀琴音に近づく第一歩です」