世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム120回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
時間とお金を節約できるオンライン
ゴルフレッスンも例外ではなく、オンラインによるレッスンが増えている。
オンラインレッスンといっても、Zoomなどのビデオチャットアプリを使って、リアルタイムで指導するものや、自分で撮影したスイング画像をコーチに送り、アドバイスや練習方法を指導する動画を送り返してもらうという方法がある。
私の場合、クライアントに撮影した動画を送ってもらい、それに対し動画や文書でアドバイスをしている。オンラインレッスンのメリットはリスクを避け、様々なコストをかけずに受講できることだ。オンラインなら、感染リスクがないだけではなく、移動にかかる金銭や時間のコストがかからない。また、自分の希望する時間に予約が取れないといった、時間や様々な制約に縛られることもないので、非常に効率的で便利な方法だと思う。
私のレッスンを受けているクライアントの中には、感染症が拡大する以前は北海道や大阪など遠方から毎月通ってくれていたが、東京に来るために少なくない時間と旅費がかかっていた。今季はオンラインに切り替えてもらったが、遠方にいながらレッスンを受けられることにメリットを感じてもらえているようだ。
もう一つ、オンラインレッスンの良いところは、コーチから返ってきたアドバイスを動画や文書などで何度も繰り返して見直すことができることだ。ワンツーマンのレッスンでは、なかなかメモを取りながら指導を受けることは難しい。その点、アドバイスを何度も読み返すことができれば、忘れても確認することができるし、時間が経ってから改めて見直せば、新たな発見をする可能性もある。
オンラインの問題点を克服する方法
このように非常に便利なオンラインレッスンだが、問題点もある。リアルのレッスンに比べ、コミュニケーションの質が低下してしまうということだ。コミュニケーションのなかでも、特にレッスンを始める前の会話が欠落してしまうことが問題だ。対面レッスンでクライアントを指導する場合、コーチは最初に最近の調子や悩みを聞く。「最近のゴルフの調子はいかがですか?」という具合に最初に声をかけるのだが、これをただの世間話だと思っている人もいるかもしれない。しかし、この場面でコーチは、生徒の悩みや課題についてリサーチをしているのだ。事前ヒアリングでコーチ側に情報が少ないと、的確な指導を行うことが難しくなる。「コースでどのような球が出ているのか」「どのようなミスをしているのか」「どのようなことに気を付けて練習をしているのか」などを把握することで、適切な指導ができるのだ。
このような事前情報の伝達を円滑にするため、オンラインレッスンを受ける前にぜひ、気を付けてほしいことがある。上手にレッスンを受けている人であれば、大抵はやっていることだが、コーチに対し疑問点や悩み、自分の考えをしっかり伝えることだ。
私の場合は、事前に病院の問診表のようなレッスンカルテを書いてもらい、しっかりと悩みや自分の考えを伝えてもらうようにしている。具体的に適切なアドバイスをするには、そうした点を知っておくことが大切で、それが分からないと通り一遍のアドバイスに終わってしまう。
実際に対面しての指導なら、直接本人から話を聞くことができるが、動画や文書をやりとりするだけの指導では、なかなかそうはいかない。それだけに、自分の状態や調子、悩み、何をどうしたいのか、という点をコーチに伝えておくのは重要なのだ。遠慮せずに、どんどん積極的にコミュニケーションをとってみてほしい。
レッスンに限らず、あらゆるシーンでオンラインはいまだに苦手という人は多い。たしかに、質という面ではオンラインはリアルに勝つことは難しいかもしれない。しかし、オンラインにも多くのメリットがあるので、これをいい機会ととらえて、オンラインレッスンに挑戦してみてはどうだろうか。今までにはないメリットを感じることができるかもしれない。ぜひ、オンラインレッスンを上手に活用して、上達につなげてほしい。