ゴルフ歴1年で70台に突入した大塚友広さんのゴルフ論とは。短期連載「ゴルフはインパクトの前後30cm」1回目。
スイングの最適化とは?
野球を始めた少年がいるとしましょう。その少年が初めて練習に参加したとき、まずはキャッチボールから始めます。そこで指導者は何を教えるでしょうか。「相手の胸をめがけて投げるんだよ」が正解ではないでしょうか? 「肩を下から回すようにして、その次に肘を前に押し出して、顔の横あたりでボールを離して……」と教える指導者はおそらくいないでしょう。
ゴルフを始めるとき、グリップはこう握って、テイクバックはこうやって、身体の軸をブレさせずにボールを上から叩くように……。こんな指導を受けた人は多いでしょう。ここにゴルフを始める際の矛盾があります。形から入ると、その後の成長が阻害されるどころか、ある程度成長しても必ず悪いスパイラルに引き戻されてしまいます。
人間、とくに大人は、それぞれ体形、体重、身長、ボディバランス、手のひらの大きさ、指の長さ、すべてが違います。決まった形を入れると、それは自分に最適化されたスイングにはなりません。それを防ぐには、“初めから”自分に合ったスイングをつくっていく必要があります。成長を阻害せず、スイングが安定するのを早め、どんな環境においてもベストスコアを残すために必要なことなのです。
「スイングの最適化」は、正しい成長軌道を描くための基礎固めです。これができてから、よりボールを飛ばすには何が必要なのか? 最適化されたスイングをより効率化させるにはどうしたらいいのか? これらを考えていくのです。
初めから効率を追求したスイングを求めてしまうと、必ずあとで歪(ひず)みが生じ、悪いスパイラルに入り込んでしまう。そうなってから「自分に合ったスイングはどういうスイングなんだろう?」と悩んでも時すでに遅し、なのです。
安定した100切り、さらには80台のスコアを残すための最短距離は、自分の身体に最適化されたスイングを探すことなのです。
【大前提】インパクトの前後30センチ
「ボールを中心として、その前後15センチ、合計30センチの幅を中心にすべてを考えていく」
これがスイングを自分の身体に最適化する過程で大前提となるポイントです。クラブ(ヘッド)がこの30センチのあいだを通過するときだけはスタンスと平行に、一直線にラインを引くことを意識してください。
私の理論のすべての基となる部分であり、《インパクトの前後30センチ》に意識を集中させ、ほかの部分の意識をすべて拭い去ることで、自分の身体に最適化された、つまりはあなたの身体の特性を最大限に活かしたスイングが生まれるのです。
当たり前のことですが、なぜ左右に大きく曲がるようなミスショットが出るのかといえば、インパクトゾーンに狂いが生じるからです。そこでミスの正しい理由を把握できないことから、多くのゴルファーは打ち方(スイングの形)に目を向け、さまざまなことを頭の中で思い巡らしてしまう。そうするとスイングが乱れ、本来の自分のスイングではなくなってしまうのです。
「フックが出る」や「スライスがひどい」などは間違いなくインパクトの問題です。これは、《インパクトの前後30センチ》をクラブヘッドが平行に通過する、というゴールからスイングを構築したのではなく、どういった動きをすると正しいインパクトを迎えられるか、という形からスイングをつくってしまった弊害でもあります。
自分らしいスイングは《インパクトの前後30センチ》からつくります。その際、スイングの形の一切を意識から消してください。テイクバックの角度や、クラブの進入角度には個性があっていい。ただし、《インパクトの前後30センチ》だけはクラブヘッドを平行に走らせることに最大限、意識を集中してください。
「一点に意識を集中する。それ以外は自分の個性が出ていい」
この意識をもてば、オンプレーンの美しいスイングが自然とつくられていきます。そして自ずとボールはあなたが目標とした地点に飛んでいくことでしょう。
Tomohiro Otsuka
群馬県富岡市生まれ。独学でゴルフ理論を構築し、1年でベストスコア70台前半に到達する。オンラインゴルフコーチング「Natural Works Golf」も主宰。著書に『マンガで身につく! 普通のビジネスマンがゴルフ歴たった1年でスコア70台を出したメソッド。』『新装版 ゴルフはインパクトの前後30cm』『新装版 スモールスイング・レボリューション ゴルフ歴1年で70台に突入できる30cmトレ』がある。