世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム97回目。今だからこそやるべき、自宅でもできる特訓法をお届けする。
スイングに似ている瓦割りの腰の動き
ゴルフスイングの中には、普段は行わない姿勢や動きが多く詰まっている。グリップのように両手の指を絡ませて何かを握ることはないだろうし、胴体と腕を連動させて棒を振るという動きも馴染みがないため、最初からできる人はなかなかいない。
だから、ゴルフスイングにはいくつものチェックポイントがあるのだが、そうした細かなことにこだわりすぎると、今度は体全体で行う動きの連動やバランスといった「運動連鎖」が崩れてしまう。ゴルフスイングでは、普段はしない不自然な動きをスムーズに、そして毎回同じように行うことが重要なのだ。そのため、スイング全体を統合する動きの流れ「運動連鎖」は欠かせない。
これまでゴルフスイングやパッティングでの正しい感覚を養うための練習法を紹介してきたが、今回はスイング全体の動きの連動をイメージできるようになる練習方法を紹介しよう。
スイングに似ている瓦割りの腰の動き
ゴルフスイングは下半身から始動して、それにつられるように上半身が回転し腕が振られる。こう言われて、1回で「なるほど」と理解できるゴルフ初心者は、ほとんどいないだろう。感覚的に理解できなければ、どうしても頭で考えてしまい、スイングはどうしてもぎこちなくなってしまう。
この一連の体の動きをイメージできない人は、空手の瓦割りをイメージするといい。正拳突きで瓦割りをする動画などを見てもらえば分かると思うが、右手を引き上げるとき左手は下にあり、右手を突き下ろすとき、左手は上がっていく。この両腕の動きをバックスイングとダウンスイングに見立てて、腰の動きに注目してほしい。右手が上がるときに右腰も上に向かって切り上がり、右手を突き下ろすのに合わせて、逆に左腰が切り上がっている。この腰の動きは、ゴルフスイングのときの腰の動きに似ている。よく「腰の回転」というが、腰を水平回転させたりねじったりしているわけではないのだ。
鏡を見てイメージと実際の動きを合わせる
何度か、実際に瓦割りのまねをしてみて腰が切れ上がる動きがわかったら、それにゴルフの上半身と腕の動きを合わせてみよう。
まず、足を肩幅ほどに広げて立ち、腰から体を前傾させアドレスの姿勢をとる。そこから、腕を「前ならえ」の形にしてまっすぐ伸ばし、正拳突きのように右腰を切り上げて上半身を回転させる。切り返しで左足を踏み込んだら、左腰を切り上げながら上半身を回転させて腕を振る。
腰の動きにつられて上半身が回転し、連動して腕が動いていくイメージを持ってほしい。この時、両腕の間隔が広くなったり狭くなったりしないように気をつけてほしい。この動きを繰り返すことで、適切なスイング動作の順番を体にインプットすることができる。
体は意外と自分が思ったように動かないものなので、この練習は鏡の前でやると効果的だ。
鏡を見ながら行うと、自分のイメージした動きと実際の動きが合っているかを確認できる。
そうすることで、自分の感覚と実際の動きのギャップが解消され、鏡を見なくても「今、自分はこう動いている」と頭の中でイメージできるようになるだろう。
下半身から始動して上半身が連動するようになれば、飛距離が出るだけではなくスイングの再現性も高まる。下半身と上半身が連動するイメージを、自分なりにつかんでほしい。