GOLF

2020.01.24

最新ゴルフクラブのポテンシャルを引き出す技術とは?

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム79回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。

吉田洋一郎

最新のクラブを手にしたからといって「飛ぶ」とは限らない

「あと、もう少し飛距離が伸びれば……」と考えるアマチュアは多い。とにかく飛ばしたい人やライバルに負けたくないなど理由はさまざまだろうが、同伴者を驚かせるようなロングディスタンスはゴルファーにとって永遠の憧れだ

プロの世界では年々コースが長くなり、PGAツアーでは500ヤード超のパー4は珍しくなくなっている。そのためツアープロは少しでも飛距離を伸ばそうとクラブの調整だけではなく日々フィジカルトレーニングを行い、スキルを磨いている。

アマチュアの場合、懸命に練習を重ねる人も多いだろうが、「最新の道具を使えば、飛距離も伸びるはず」と安易に考えている人が多いのではないだろうか。

各ゴルフメーカーはしのぎを削って最新のテクノロジーや新素材を駆使した新商品が次々と開発し、飛距離のアップをうたっている。私自身も最新のクラブの進化には目を見張るものがあると感じているし、実際に新しいクラブを使って飛距離が伸びたと感じている人もいるだろう。

そんなアマチュアのみなさんに、興味深いデータを紹介したい。それは、R&AとUSGAによる飛距離に関する年次レポートだ。

レポートによると調査を開始した1996年のアマチュアの飛距離は平均200ヤード。2018年は215ヤードで、20年あまりで約15ヤード伸びた。ところが2005年と比べると、逆に2ヤードダウンしている。つまり、20年前と比較するとアマチュアの飛距離は伸びたが、この15年ほどを見ると、飛距離は全く伸びていないということだ。

では、プロはどうか。2003年と2018年を比べると、米PGAツアーでは10.2ヤード、欧州ツアーでは8.4ヤード飛距離が伸びている。

何が言いたいのかといえば、飛距離の伸びは道具の進化だけでなく、それを使いこなすための技術やパワーの向上が必要ということだ。もしくは、道具の進化にアマチュアの技術や技量がついていっていない。要するに、道具ばかり追い求めても、適切なスイングが身についていなければ、意味がないということだ。

プロとアマの違いは下半身への意識

PGAツアーでは平均飛距離が300ヤードを超える選手が、2015年の26人から2019年は50人へとほぼ倍増している。飛距離が伸びている要因としてはクラブの進化、フィジカルトレーニングに加え、ティーチングスキルの進化が挙げられる。欧米では地面反力を使ったティーチングが約8年前から始まり、今では当たり前となっている。ツアープロを指導するコーチたちだけではなく、昨年の平均飛距離1位(317.9ヤード)を記録したキャメロン・チャンプのように意識的に地面反力を用いて飛距離を伸ばしている選手もいる。

多くのアマチュアは、遠くへ飛ばそうとするときに手や腕でクラブを振り下ろしてしまう、いわゆる「手打ち」の状態になっている。

手打ちになると、下半身の力を使わずに上半身の筋肉だけでクラブを振ることになり、ボールに十分力を伝えることができない。

また、手でクラブを振り下ろすとクラブはアウトサイドインの軌道となり、弱々しいスライスが出る原因となる。

それに対し、プロは下半身を含めて全身の力を効率的に使って、ボールを打っている。特に大切なのは「切り返し」で、下半身から動くことで効率的な動きの順番によってスイングを行っている。このとき重要なのは、左足をグッと踏み込むことで、地面から跳ね返る力(地面反力)を利用してスイングするとヘッドを加速させることができる。

こうしたスイングをするために、まず下半身を意識することから始めてみてほしい。特に足裏を意識するだけで上半身の力が抜け、クラブの重みを感じることができる。意識を足裏に持ったままスイングしてみると下半身の動きに上半身やクラブが連動して動く感覚が出てくる。まずは素振りで足裏に意識を向けてスイングすることから始めて、慣れてきたらボールを打ってみるといいだろう。

飛距離を伸ばしたいと願うのなら、最新のクラブやボールをチェックするのに加えて、しっかりと下半身主導でクラブを振る感覚を身につけてほしい。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=松川 忍

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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