世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム67回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
"開眼"の多くは再現性のない奇跡
熱心に練習をしている人なら、誰もが「あ、わかったかも」という瞬間があるのではないだろうか。もちろん私自身にもある。レベルアップを実感できるし、自分がなんだか違う次元に行けた気がしてとても嬉しいものだ。
しかし多くの場合、次の練習、次のラウンドではその開眼で手に入れた感覚やポイントは、雲のように立ち消えている。残念ながら“開眼”ではなく“再現性のない奇跡”になってしまっているのだ。だからといって「分かったかも!」という感覚が、儚い幻想だとは言わない。成長していく上で、この気づきはとても大切だ。
だからこそ、それを次につなげて積み重なっていくようにしていきたい。それには2つのことが重要になる。「何に気づきを得て」「なぜそうなったかという理由」だ。
"なぜか"を知るために必要な知識
練習を続けているとパッとひらめいたり、今までにない感触を得ることがある事がある。例えばバンカーショットを「手打ち感覚でヘッドを走らせながら打つ」とバンカーから脱出しやすい、という開眼が訪れたとしよう。
この時気づいた「手打ち感覚でヘッドを走らせる」というポイントを記録してほしい。メモ書きでも絵でも何でもよいが、できるだけ具体的に記録することが重要だ。右手でクラブを振る感じなのか、スパッと砂を打つ感じなのか、同時に気を付けることはあったかなどなど。
次に、なぜそうなったか理由を考える。手打ち感覚で打つことでヘッドがリリースされ、今まで鋭角に打ち込んでいた入射角が緩やかな軌道になりバンスが滑ってボールが楽に出るようになった、という具合だ。
具体的な記録は、開眼を再び呼び覚ますためのトリガーになり、理由の理解はそのピストルを再構成する設計図となる。ピストルがなければトリガーはひけないのだ。
理由を理解するためには、知識が必要だ。コーチの指導やレッスン記事を毎回鵜呑みにする必要はないが、知識としてはインプットしておいたほうが良い。言っていることはさまざまだろうが、コーチも編集者もそれを生業にしている以上、理論としては崩壊していることはないだろう。「◯+□=△」なんだ、くらいに覚えておく。それを積み重ねて、頭の中で理解、整理をしておくと、「分かったかも!」のとき、なぜそうなったのかという理由を発見できるだろ。