世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム62回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
パターに合わせた不自然な構えになっている
ゴルフは再現性のスポーツといわれるが、パッティングはその最たるものだ。打つ距離は比較的短いためショットほどは変わらず、ライもフェアウェイに比べれば水平に近い。適応力よりは圧倒的に「同じフォームでボールを芯でとらえる」ことが重要になる。力も必要ないため鍛錬のしようによっては、アマチュアがもっともプロに近づける領域といえるだろう。
さてパッティングの再現性を上げる方法だが、実は「スムーズに動くこと」がなによりも重要になってくる。動きに制約を設けガチガチにフォームを固めたほうが、同じ動きになりやすそうと思った人も多いと思う。しかしこれは動かしやすさを度外視しているため、リズムがバラバラになったり意図しない手の動きが出やすいのだ。
アマチュアのアドレスを見ていると、すでに動かしにくそうな構えになっている人がいる。原因はパターの形に合わせて、アドレスを作っているからだ。アマチュアの多くはまずボールに合わせてパターを置き、そこから立ち位置やグリップを作っていく。自分の構えやすさよりも、パターのすわりを優先させているのだ。当然パターの形やライ角、長さによってアドレスが変わってくる。運よく動きやすい姿勢とパターのスペックがマッチすればよいが、雲をつかむような話だ。
パターこそフィッテイングをすべき
パターに体を合わせると、再現性が低くなるばかりか無理な姿勢をとることで腰などを悪くし体を壊す要因にもなる。だからこそパターを新調する際は、フィッティングをしてほしい。アマチュアの人に聞くとドライバーのフィッティングには時間とお金をかける人はいるが、パターを調整したという人には数えるほどしか会ったことがない。
アマチュアに多く見られるミスマッチは、使っているパターが長すぎることだ。NASAの科学者からパッティング分析の分野に転向し、フィル・ミケルソンのマスターズ制覇に貢献したデーブ・ペルツはアマチュアが長すぎるパターを使うことに警鐘を鳴らしている。長すぎるパターを使うとグリップ位置が高くなり、体が起き上がって前傾角度が浅くなり重心も高くなる。すると上半身の回転では過度なインサイドイン軌道になるため、それをまっすぐな軌道にするために手を使って調整しながらストロークをしてしまう。「ちょっとグラつくな」と感じている人は、ストロークの問題ではなくパターが長すぎる可能性がある。
また「手元の位置がしっくりこない」と感じる人は、ライ角が合っていない可能性がある。ライ角と動きやすい姿勢の手元の位置が合わないと、ボールに近すぎたり、離れすぎたりしてこれもストローク軌道が安定しない。
パター選びでは、「入りそうだな」という直感が大事だが、ヘッドが決まったら必ずフィッティングをして長さやライ角を調整してほしい。3パットを劇的に減らすのは、根気強いパッティング練習ではなく、30分程度の計測だったりする。