世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム60回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
知識と同じくらい大事な「伝える技術」
このコラムを読んでいる人たちは、おそらく世のゴルファーよりも「コーチをつけてレッスンを受けている比率」は高いのではないだろうか。ラウンドフィーのほかにレッスンフィーを支払える金銭的な余裕もさることながら、成長するための自己投資に価値を見出すことができるからだ。そしてコーチである私のコラムを読んでくれている(いつもありがとうございます!)。
そこで今回は「上手なコーチの使い方」をご紹介しようと思う。
プレーヤーを最速で成長させてくれるのは、ずばりコミュニケーションが円滑にとれるコーチだ。ゴルフコーチにとって一番重要で評価されるべきなのは「技術の知識」だ。しかし、その知識を伝えるための「コミュニケーション」が円滑に行えなければせっかくの知識も無駄になる。体格や年齢によって目指すべき型が異なるゴルフは、コミュニケーションの質や密度が上達レベルを左右することにつながるのだ。コーチは相手のニーズや性格を見抜き、的確な言葉を投げかけることが必要になる。知識と同様に相手が理解するための「伝える技術」が大事になるのだ。
誤解を恐れずに言えば、「知識や経験、肩書きがすごいコーチより、言っていることの8割が理解できる話しやすいコーチ」を選んだほうがよい。
プロもアマチュアも対等な関係がベスト
「話しやすさ」で重要になってくるのが、コーチとプレーヤーの関係だ。ゴルフでは面白いことにプレーヤーがプロだと選手がエラく、逆にアマチュアだとコーチがエラいような風潮がある。教わる側がプロでもアマチュアでも、パフォーマンスを上げるために契約を結んでノウハウを伝えるということに変わりがないのだから、本来はエラいもなにもあったものではない。
だからアマチュアがコーチに教わる際にも、必要以上に畏敬の念を覚えたり、「フィーを払っているのだから」と横柄な態度を取ったりしないほうが良い。対等でない関係はどちらか一方の「話しやすさ」を阻害し、それが上達の遅れにつながる。なにも友だちになる必要はないが、お互いに信頼をして必要なことを正直に言い合えるパートナーである必要がある。
だから、レッスンを続けるうちに関係性が変わり「話しやすいコーチ」だと感じなくなったとしたら、新しい師を探す時期だと考えていいだろう。もちろん数か月ごとに、コーチを変えるのはあまりおすすめしない。スイングはすぐに変わるものではないので、最低半年程度、レッスンの中でコミュニケーションを重ねたほうが良いだろう。
プロのなかにも10年以上にわたり長年タッグを組むプロとコーチもいれば、はたから見れば成績が上向いているのに関係を解消してしまうパターンもある。期間に正解はない。コミュニケーションの質で判断をすれば、その後の上達にいい影響を及ぼすだろう。