世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム59回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
ハードルが高すぎる「アマチュアの成功定義」
ラウンドでは練習以上のものは出ない! このコラムではたびたび「スコア分析」の話をするが、自分のパーオン率をちゃんと把握している人はどのくらいいるだろう。ちなみに国内男子ツアーでパーオン率トップはガン・チャングン(タイ)で76.52%、女子はシン・ジエ(韓国)の75.33%だ。プロでも70%を超えると、ショットの正確性がかなり高く、75%に近づけばトップクラスの選手と言える。
正確な数字は取得していないが、アマチュアのパーオン率は、コンスタントに70台を出すシングルで40~50%、平均スコアが100前後のプレーヤーだと20%弱くらいだ。この数字を「高いな」と思った人はほとんどいないはずで、「自分ってそんなに低かったっけ?」というのが正直な感想だろう。
そんな感想の通り、ラウンドで2打目がグリーンから外れると、さもそれが想定外であったかのように残念がる人が多い。実際のデータと期待値に大きな開きがあるのだ。
ためしに練習場で150ヤードのターゲット付近に10球打ってみてほしい。90前後のゴルファーならおそらくターゲットの10m以内にボールが落ちるのは上手くいって4球ほどだろう。毎回同じ番手で平らなライから打って40%程度。毎回ライや風、距離も微妙に変わるラウンドでは決して練習以上(それどころか同等)の結果を得ることは不可能なのだ。
「△」が出れば自分を褒める
必要以上に期待値が大きいと、自分の実力を過信してミスのリスクを過小評価したり、「失敗が続いているから取り返そう」と無謀なコースマネジメントを選択しがちになる。そこでパーオン率が50%以下の人は、失敗を前提にプランを立ててほしい。ショットの前に起こりそうな結果を「◎」「〇」「△」「×」の4パターンくらい想定しておくのだ。例えばこんな感じに。
◎→1パット圏内にオン
〇次打をパターで打てる状態
△→次打で確実にグリーンに乗る状態
×→次打でグリーンオンができない状態
そして毎回したか2個目の「△」までなら、自分を誉めてあげよう。
「よくやったぞ、自分!」
「プロみたいに最良のショットじゃないが、練習をサボり久々のラウンドの割には上出来じゃないか」
こんな具合だ。
ビジネスのシーンでは時に失敗のリスクを取ってまでも攻める姿勢を貫く必要があるだろうが、ラウンドでその選択をしても失敗をするだけで得られるものはほとんど何もない。ピンを狙ったショットや、球筋をコントロールしてグリーンを狙うチャレンジングなショットは、練習で試して自分の成功確率を把握してからにしてほしい。低い成功確率を承知のうえで勝負に出るなら止めはしない。
日々自分を律しているビジネスマン諸兄こそ、ラウンドではハードルを下げ自分に甘く接する勇気を持ってほしい。