世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム50回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
「ウェッジしか持たない」思考停止状態から脱却する
グリーンまで30ヤード以内。あなたは何を持っていくだろう?
おそらく多くの人がサンドウェッジ(SW)やアプローチウェッジ(AW)を手に取る。ここにピッチングウェッジ(PW)とパターを加える人もいるだろう。だが、その下の番手まで持っていくというアマチュアはあまりいないだろう。
今回はアプローチの際に持っていく番手に、8番アイアンの追加をオススメしたい。
30 ヤード以内まできたら、100を切りたい人はそこから3打、80台以下を目指すなら寄せワンでホールアウトしなくてはならない。そこで求められるのが、アプローチでちゃんとフェースにボールが当たることだ。こう言うと非常に初歩的に聞こえるかもしれないが、アプローチでザックリやトップが出てしまえばグリーンをとらえられず、3打もしくは2打で上がることは難しくなる。だから「とにかくちゃんと当てること」がなによりも大事なのだ。
ロフトが立っている8番アイアンは、ウェッジよりフェースでとらえることが容易で小さな振り幅で長い距離が出るミスの少ないクラブと言える。
ロフトは立てず、立っているロフトを使う
ボールからエッジまで3ヤード、エッジからピンまで20ヤードのフラットな傾斜。この状況であなたはどのクラブを選択してアプローチをするだろうか。低い球で距離を出さなければいけないアプローチの場合、SWでロフトを立ててボールを右足寄りにセットしてバウンスを使わずフェースに直接コンタクトする打ち方をする人もいるだろう。この打ち方は手首の角度を開放するとリーディングエッジが地面に刺さったり、少しでも手元が浮けばトップが出る可能性もある。
このようにロフトを立ててリスクの高い打ち方をするのなら、最初からロフトの立っている8番アイアンを使ったほうがよほど成功の確率は高くなる。
プロの場合は、アプローチでもパッティングのように正確にラインを出したり、ロフトを立ててボールとフェースの接着時間を長くし、スピンコントロールをする必要がある。そのためSW1本でボール位置や打ち方を変えるが、アマチュアにはその精度は要らないし、コースコンディションも簡単なのでそんなことをせずとも寄せることが可能だ。
キャリーとランは1対4
というわけで次のラウンドから、アプローチエリアに持っていくメンツに8番アイアンを加えてほしい。そしてその前に8番アイアンでアプローチの練習をしてほしいと思う。
そもそも8番アイアンはウェッジより長いため、短く持っても人によっては構えづらさが出る。さらにウェッジ感覚でアプローチをすると振り幅が大きくなったり、ヘッドスピードが速くなりがちだ。手元だけで動かすのではなく、一定のリズムを保ち、パッティングのように上半身の体の回転でクラブを動かすように振るのがポイントだ。
練習ではキャリーとランの割合を確認しながら距離感の練習をすると本番でも寄るイメージが沸きやすい。人によって多少異なるがキャリー1に対してランは4の目安にするといいだろう。アプローチ練習場がない場合はドライビングレンジで振り幅とキャリーの把握だけでもしてほしい。どれくらいの振り幅でどのくらいのキャリーになるのかを理解できれば実戦でも良いイメージが出るだろう。ウェッジでの高い球に加えて転がしもマスターできれば、グリーン周りでの致命的なミスが確実に減っていくはずだ。