世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム42回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
パットが入らないときの対処法!
暖かくなりコースに出る回数が増えると「この前とパッティングの感覚が違うぞ」と思うことが多いかもしれない。ラウンドの頻度が低い冬は感覚のズレを「こんなものだったかな」と消化できるが、つい先週の感覚と大きくズレていると不安になるものだ。
ショットもパッティングも、大なり小なり感覚はズレる。これはプロも同じだ。だからトップクラスの選手でもコーチを帯同させ、毎日グリーン上で感覚と動きのズレの確認を行っている。
アマチュアの大半はパッティングに悩むと、まずはパターに原因を求めるのではないだろうか。パターに鉛を貼ってみたり、パター自体を頻繁に変更する人も多くいる。しかし、間違いのないパター選びのためにはフィッティングが必要で、時間もお金もかかる。もちろんフィッティングなしで感覚で選ぶことも可能だが、ちょっとした気分転換にしかならないだろう。
そこで感覚のズレを発見したら、握り方を変えてみることをおすすめしたい。慣れ親しんだグリップを変更するのは不安だと思うが、そもそも結果が出ていないのに、今の握り方が正しいとは限らない。時には現状の常識を疑うことも必要になる。
今回紹介したいのはクローグリップという握り方だ。クローはかぎ爪の意味で、右手の握り方からその名前が付けられた。変則的な握りなので敬遠されがちだが、理にかなったものだし、2017年にマスターズを制したセルヒオ・ガルシアもこのグリップでオーガスタのガラスのグリーンを攻略した。
右手の動きを抑える
クローグリップは左手は通常の手のひらで握るパームグリップだが、右手は通常の握り方とは異なる。右手のひらをグリップに触れさせず、指で握るのだ。クローグリップと言っても様々な握り方があり、下から当てがうタイプや横から添えるタイプなどがあるが、ここでは横から添えるタイプを紹介する。
親指と人差し指を自分から見て「コ」の字のようにした状態をつくり、親指以外の4本の指でグリップを上からかぶせるようにして持つ。手の指でグリップを包み込まないため見た目にはかなり不安定な印象を受けるだろう。実際に右手に力を入れにくい。この力の入れにくさこそがクローグリップのメリットだ。
手先は体の中でもっとも器用な部位の一つだ。だからこそストロークの最中に余計な力が入りやすくなってしまう。右手が強すぎてひっかけてしまう人や、力感がゆるんでフェースが開き右に押し出してしまう人には、このクローグリップの不自由さが、逆に安定したストロークをもたらすだろう。
「パッティングに型なし」とよく格言のように言われるが、毎回同じように動かすためには型は作っておいたほうがいい。それが異形だったとしても、自分の課題を解決してくれるものであれば採用するべきだ。少なくても何も指標がない状態よりはずっと良いと思う。