そのアイテムを一瞥しただけで胸が射抜かれ、物欲を刺激される。素材や仕立て、装いの愉しみを喚起し、人生の起爆剤にもなる。今回紹介するのは、ロエベのダブルブレストコート。【特集 刺激のある服】
長年愛用したかのような佇まい
手に入れた当初はスマートな面持ちをしていても、袖を通し着続けることで身体になじみ、経年変化の味わいやフィット感が増すのがレザーアイテムの醍醐味。革を“育てる”と語る人もいるように、表面に残る擦れや傷を自らのライフストーリーの痕跡とするならば、長く着れば着るほどアイテムへの愛着も湧いてくるというものだ。
ロエベのダブルブレスト仕立てのレザーコートは、サンド加工とポリッシュ仕上げで、しなやかなナパカーフスキンをヴィンテージ風に仕上げた珠玉の1着。まるで長年愛用したかのような佇まいで、「次の相棒はあなたですよ」と今にも語りかけてきそうな饒舌さで、所有欲を大いに刺激してくる。
左襟が折れているのも、クローゼットに仕舞っておいた名残のような気さえするから愛おしい。ミディアムウェイトのほどよい重量感は決して今風ではないが、これからの人生をともにじっくりと歩む最良の相棒になりそうだ。
問い合わせ
ロエベ ジャパン クライアントサービス TEL:03-6215-6116
この記事はGOETHE 2024年5月号「特集:刺激のある服」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら