1854年創業のルイ・ヴィトンの歴史のなかで本は常に特別な存在であり、現在では独自の出版部門を創設。世界中にあるルイ・ヴィトンのストアでは、メゾンのエスプリを感じさせる佇まいの美しい本を取り扱っている。いま手にしたい、3冊の本を紹介する。
ルイ・ヴィトンの歴史を旅する
2021年10月、ルイ・ヴィトンとフランスを代表する出版社のひとつ、ガリマール出版社は、メゾンの創業者ルイの生誕200年を記念して、ルイを主人公にした小説『Louis Vuitton, I’audacieux』を上梓。そして、その日本語版『ルイ・ヴィトン 果敢なるひと』が発売された。
14歳で一銭も持たずに木靴を履いて生家である水車小屋を後にしたルイ。2年かけて徒歩でパリに到着後、固い決意とジュラ方言で「頑固者」を意味するヴィトンという名前を武器に、荷造り用木箱製造兼荷造り業で職を得て、以降、成功の階段を昇っていく。いかにして幸運の女神は主人公に微笑み続けたのかを描く。
著者のキャロリーヌ・ボングランは言う。
「人が人生で築き上げるものは何であれ、勤勉、良識ある行動、堅固な価値観、勇気を土台としているのだ、との気付きを読者に与えることができれば幸いです。ルイは無一文から出発しましたが、気概に溢れ、目標に向かって努力を惜しみませんでした。彼はあくまでも謙虚でありながら、抱いた希望と夢を実現したのです」
脳内トリップできる旅のガイドブック
なかなか旅することができない今にあって、頭の中だけでも旅行気分に浸れるのが、ルイ・ヴィトンが20年以上にわたって世界中の都市を案内するシリーズ『シティ・ガイド』。数年ごとにアップデートされ、現在は30都市を刊行。メゾン創業から受け継ぐ“旅の真髄(こころ)”を表す書籍シリーズとして世界中で人気を博している。
世界中に旅のガイドブックは数あれど、この『シティ・ガイド』が他と違うのは、パーソナルな視点で世界各地の都市を紹介する点。フリーライターやさまざまなバックグラウンドを持つゲストを起用し、グランド・ラグジュアリー・ホテルからチャーミングなブティック・ホテル、一流レストランから近所のビストロ、アンティーク・ショップからファッション・ブティック、象徴的な必見スポットからあまり知られていない秘密の場所までを網羅する。
また、特別ゲストの寄稿(「東京」は過去に建築家の隈研吾など)もあり、その独自のアプローチは、まさにルイ・ヴィトンならではのエスプリだ。
加えて、このシリーズの大きな特徴は、装丁の美しさ。都市ごとに色で分けられ、思わず揃えたくなる。最新版は、北京、ミラノ、メキシコ・シティ、ベルリン、ローマ、ニューヨーク、ケープタウン、上海、シドニー、パリ、ロンドン、プラハ、ロサンゼルス、台北、そして東京の15都市。そのセットはラッカー加工された木製ボックスに収められている。インテリアとして部屋に飾っておきたいアイテムだ。
熟練の職人たちの技と想いを知る
高級書籍専門の出版社、アスリーヌ社から出版された『ルイ・ヴィトン マニュファクチュール』は、メゾンのアトリエ、ならびに卓越したアイテムを作り上げる職人たちにスポットライトを当てた特別な一冊。その日本語版が4月15日に発売された。
見どころは、本書のために特別に撮影されたルイ・ヴィトンのアトリエの美しいロケーションや建物などの写真だ。創業者・ルイの手法や、サヴォアフェール(匠の技)を21世紀につなぎながら、トランクやバッグ、フレグランス、ウォッチ、シューズ、ハイジュエリー、そしてプレタポルテなど、ルイ・ヴィトンのクリエーションを通して自らの才能を表現する、卓越した職人たちの姿を描いている。
ルイ・ヴィトンの書籍は装丁も中身も美しく、まるでアート作品。部屋に飾っておきたくなるものばかりだ。
すべてLOUIS VUITTONストア公式サイトで発売