男の生き様が表れるコートには、人生を物語るに足る強い存在感がある。ゆえに合わせるアイテムは色調を統一し、控えめにまとめるのが好バランスだ。そこで旬のコートにベストマッチな色選びと着こなしを、ゲーテファッションディレクターの島田明が指南する。
M-51 × GRAY COLOR
「ゲーテ11月号のファッション特集でも取り上げたように、M-51通称“モッズコート”は今季まず揃えたいコートの大本命です。デニムからスーツにまで合う汎用性が魅力のひとつですが、ゲーテ読者にはグレーアイテムとの組み合わせを推奨。ミリタリー出自の男臭さを上品に中和してくれるだけでなく、優美なリラックス感も加わり、大人の休日に最適です」
HERNO/ヘルノ
ツイードスーツでリラックス感を引きだす着こなし
「タイドアップからTシャツまで相性がいいM-51。ミリタリーユニフォームの凛々しさとパーカのスポーティさを併せ持つゆえの汎用性ですが、今季タイドアップするならトレンド素材のひとつであるツイードがお薦めです。なかでもヘリンボーン織りのようなこなれた表情のものならリラックスした雰囲気で着こなせます。ツイードの切り替えがアクセントになったヘルノの1着はより好相性です」
STONE ISLAND/ストーンアイランド
色調が決め手のモダンかつ新鮮な都会派マリン
「ストーン アイランド得意の製品染めが施されたM-51は、海を想起させる美しいブルーが特徴です。その色目を活かして、ケーブル編みのタートルネックとざっくりとした表情のパンツを合わせ、マリンテイストのスタイルに。ニットやパンツがホワイトだとストレートなマリンになりがちですが、グレーなら都会になじむモダンな印象になります。また足元は白スニーカーで抜け感を演出しましょう」
C.P. COMPANY/シーピーカンパニー
だらしなくない大人の脱力系でお洒落巧者に
「気張らず、脱力しつつもお洒落に見えるのがファッション上級者。ゆとりのあるシルエットでリラックス感のあるM-51はそんな着こなしに相性がよく、バンドカラーシャツやノーカラージャケット、ジャージーのジョガーパンツという脱力感のあるアイテムとの組み合わせは、まさに上級者的です。M-51も含めグレートーンで統一することで脱力しすぎず、白シャツで全体を引き締めるのが鉄板です」
VISVIM/ビズビム
難易度が高いホワイトコートの洒脱な着こなし方
「M-51に限らず、ホワイトのコートはキザになりがちで着こなしの難易度が高いもの。その攻略にうってつけなのがグレーのアイテムであり、ホワイトに対するコントラストがソフトになることで抜け感が生まれ、リラックスした雰囲気で着こなせます。また大人らしい落ち着きとリッチ感も漂うので、気負わずにトライしてみてください。白Tシャツを挟む感覚で白シャツを合わせるのもコツです」
DIOR/ディオール
いかにも英国的な傑作映画に学ぶ普遍的着こなし
「ディオールのメンズ アーティスティック ディレクターであるキム・ジョーンズは英国出身。今季M51を提案している彼は、モッズがM51を颯爽と着こなす英国映画『さらば青春の光』の影響が少なからずあるはず。そんな劇中の着こなしを意識し、グレーのセットアップスーツにコーディネイト。たとえカジュアルな着こなしでもエレガンスを感じさせる点や、モノトーンの色使いも英国的です」
AKIRA SHIMADA
1963年東京都生まれ。雑誌『MEN’S CLUB』にて編集者としてキャリアをスタート。その後、雑誌『LEON』で編集長代理、『Esquire』でファッションディレクターを経て、2011年より小誌ファッションディレクターに就任。現在、Patrick CoxやHEADなど国内外のブランドのディレクターも務めている。