ENTERTAINMENT

2024.07.12

景気低迷の韓国で、なぜ、韓国トップスターは不動産投資をするのか?

不動産への過剰な偏りは危険!? 2021年から暴落が始まった韓国の不動産市場だが、氷河期でも減らない韓国トップスターの不動産投資。ビジネスパーソンとしてキャッチアップしておきたい。

ヒョンビンとソン・イェジン夫妻
不動産投資が話題のヒョンビンとソン・イェジン夫妻。

減らない韓国トップスターの不動産投資ニュース

経済協力開発機構(OECD)が発表した2023年の韓国の経済成長率は1.36%にとどまり、日本の成長率(1.71%)を25年ぶりに下回った。

2024年は半導体の輸出が好調のため2.6%へ加速する見通しだが、それでも「景気低迷」を強く感じている韓国人は少なくない。

特に2021年から暴落が始まった不動産市場の場合、売買取引や新規物件の減少による「氷河期」がまだまだ続いている状況だ。

その一方で、超高級マンションを購入したり、不動産投資に成功したトップスターたちのニュースは減ることはない。「新興富豪」とされる彼らだけに、不況は関係ないと言わんばかりだ。

例えば、ドラマ『愛の不時着』で共演後、2022年3月に結婚した俳優ヒョンビン(41)、ソン・イェジン(42)夫婦。新婚時代を過ごしたペントハウスの売却を仲介業者に依頼したというニュースが報じられている。

ヒョンビンが2020年に48億ウォン(約4億8000万円)で購入したそのペントハウス、部屋4つ、トイレ4つ、屋上庭園を含む専有面積は126坪の広さだ。

ヒョンビンは結婚に伴って内装工事を行ったが、工事は近隣住民たちが気づかないほど静かに行われたという。しかも、夫婦揃ってご近所を周りながら高級牛肉ギフトを配ったという“美談”も囁かれた。

新婚生活をスタートさせ、子供も生まれるという、大切な思い出が詰まったそのペントハウスを、ヒョンビンは70億ウォンで売りに出した。売却されれば22億ウォン(約2億2000万円)の売買差益が見込まれる。

こんなふうに俳優として成功しただけでなく、不動産投資でも着実に資産を増やしてきたヒョンビンとソン・イェジン夫婦が現在保有する不動産の価値は、単純計算で370億ウォン(約37億円)に及ぶそうだ。

韓国トップスターが集う高級マンション

2024年6月の下旬には、現在兵役中のBTS・J-HOPE(30)がソウル・龍山(ヨンサン)に位置する約120億ウォン(約12億円)の超高級マンションを、現金一括で購入したというニュースも飛び込んだ。2020年に分譲されたが、最近になって所有権移転の手続きが完了したという。

ちなみにこのマンションは、大ヒット韓流ドラマ『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』のコン・ユとキム・ゴウン、日本でNetflix作品の撮影に取り組んでいるハン・ヒョジュらも購入したことで知られ、26戸しかない小規模集合住宅だ。

入居者にはハウスクリーニング、リムジン、コンシェルジュなどのプライベートサービスと、プレミアムコミュニティが提供される。

J-HOPEはこのマンションの他にも80億ウォン相当の超高級マンションを所有。つまり現在、相場200億ウォンの不動産を所有していることになる。

そんなJ-HOPEが汗と涙を流しながら練習していたBig Hit Music(旧BigHitエンターテインメント)の旧社屋を、2024年3月に俳優キム・ウビン(34)が137億ウォン(約13億7000万円)で購入したことや、『涙の女王』の俳優キム・スヒョン(36)が実は相場300億ウォン(約30億円)の超高級マンションを保有していたことが確認されたといったニュースも出ている。

韓国の小学生の将来の夢はビルオーナー!?

スターたちの不動産事情が度々取り上げられるのは、韓国人がそれだけ不動産を重要視しているという証拠でもある。

韓国メディア『MONEY TODAY』によるアンケート調査では「資産家が主にどんな方式で財産を集めたと思うか」という質問に対し、「不動産など実物資産」と答えた割合が66.4%と、圧倒的1位だった。

韓国最大の証券会社、MIRAE ASSET証券を抱えるMIRAE ASSETグループのパク・ヒョンジュ会長は、「韓国人の資産のうち75%が不動産だ。不動産への過剰な偏りは危険であり、富のバランスをとる必要がある」と指摘している。

とはいえ、韓国人の「不動産熱」は冷めにくいかもしれない。最近は、円安の影響を受けて日本の不動産に関心を向ける人も増えているという。それにともない、韓国では不動産投資に対する問い合わせが2023年より30%ほど増えているという。

「造物主(神様)の上に建物主(ビルオーナー)がいる」と言われ、将来の夢としてビルオーナーを挙げる小学生も少なくない韓国。スターたちの不動産関連ニュースは、今後も何かと世間を騒がせそうだ。

■著者・李ハナ
韓国・釜山(プサン)で生まれ育ち、独学で日本語を勉強し現在に至る。『スポーツソウル日本版』の芸能班デスクなどを務め、2015年から日本語原稿で韓国エンタメの最新トレンドと底力を多数紹介。著書に『韓国ドラマで楽しくおぼえる! 役立つ韓国語読本』(共著作・双葉社)。

TEXT=李ハナ(ピッチコミュニケーションズ)

PHOTOGRAPH=スポーツコリア/アフロ

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