3大会ぶりの世界一を目指す侍ジャパンのライバルは――。他チームも着々と本大会へメンバー編成を進めるなか、各組の戦いを、スポーツニッポン柳原直之記者が展望した。
日本がB組を勝ち抜いた場合の対戦国は?
日本がB組を勝ち抜くと、準々決勝で対戦するのがA組の上位チームだ。過去2大会で4強に進出したオランダはヤクルトやソフトバンクでプレーしたバレンティンが、現役最後の舞台として参戦する。野手は高齢化が目立つが、このオフに11年総額2億8000万ドルでパドレスに加入したスター遊撃手ボガーツが名を連ね、侮れない。
メジャーへの選手流出により近年低迷していたキューバだが、米国に亡命していた選手の参加が認められ、ホワイトソックスの内野手モンカダと外野手ロベルトが参戦。R・マルティネスとY・ロドリゲス(ともに中日)、モイネロ(ソフトバンク)らNPB所属のリリーフ陣は強力だ。
この両チームに絡んでくるのが呉念庭(西武)、王柏融(日本ハム)らが出場する台湾となりそうだ。
日本の最大のライバル
日本の最大のライバルは韓国。メジャー組ではダルビッシュの同僚である遊撃手・金河成(パドレス)、ヌートバーのチームメートであるエドマン(カージナルス)も参戦。KBOで2年連続首位打者&昨季MVPで「韓国のイチロー」と称される24歳の李政厚(キウム)も注目だ。元中日の李鍾範氏の長男で、今季終了後にはポスティングシステムで大リーグ移籍を目指す。左のパワーヒッター・崔志万(パイレーツ)は不参加となったが、白熱した戦いが予想される。
2022年11月の強化試合で対戦したオーストラリアは、2021年セーブ王のホワイトソックスの守護神ヘンドリックスががんの一種である非ホジキンリンパ腫と診断されたため出場できず、苦戦必至。チェコ、中国の力は他と比べて落ちるが、チェコはヤンキース時代の田中将大(現楽天)から本塁打を放ったこともあるベテラン内野手ソガードが参戦する。
日本の準決勝の対戦相手予測
投打にバランス良くスーパースターがそろったのが、2連覇を目指す米国だ。主将トラウト(エンゼルス)、右翼手ベッツ(ドジャース)、一塁手ゴールドシュミット(カージナルス)のMVP経験者3人を中心に野手は超豪華。サイ・ヤング賞3度、通算197勝の左腕カーショー(ドジャース)が負傷歴を理由に保険加入できず、ヤンキースの12勝左腕コルテスも右太もも痛のため、それぞれ欠場となったが、救援陣は昨季世界一アストロズの守護神プレスリーを中心に盤石。互いに勝ち進めば、日本とは準決勝で激突する。
これに次ぐのはメキシコ。昨季17勝を挙げたドジャースの左腕J・ウリアスと2021年新人王のレイズの外野手アロザレーナを擁し、多くの大リーガーが名を連ねた。カナダは2020年ナ・リーグMVPのド軍主砲フリーマンが打線の中軸を担うが、投手陣がやや力不足。コロンビアは強打の三塁手ウルシェラ(エンゼルス)らがチームを引っ張る。
強豪3チームがひしめく、注目の「死のD組」
ドミニカ共和国、プエルトリコ、ベネズエラの強豪3チームがひしめく「死の組」。その中でも頭一つ抜けているのがドミニカ共和国だ。先発投手陣に辞退者が相次ぎ、さらに21年本塁打王のゲレロ(ブルージェイズ)も右膝の違和感により欠場が決定。2013年大会以来の優勝には不安もある。ただ、昨季サイ・ヤング賞のアルカンタラ(マーリンズ)は盤石で、マチャド(パドレス)、J・ロドリゲス(マリナーズ)らで形成する打線は米国に引けを取らない。
2大会連続準優勝で、前回米国代表でMVPに輝いた右腕ストローマン(カブス)を引き抜いたプエルトリコは、2013年大会で日本の3連覇を阻んだ名捕手ヤディエル・モリーナ氏が監督を務め、DeNAのソトも参戦。アルテューベ(アストロズ)、昨季首位打者のアラエス(マーリンズ)らを擁するベネズエラも手ごわい。
柳原直之/Naoyuki Yanagihara
1985年9月11日、兵庫県西宮市生まれ。関学高を経て、関学大では準硬式野球部所属。2008年に三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)入行後、転職し、2012年にスポーツニッポン新聞社入社。遊軍記者、日本ハム担当を経て2018年からMLB担当としてエンゼルス大谷翔平選手を中心に取材。