ENTERTAINMENT

2022.11.29

アークティック・モンキーズ 4年ぶり7作目の新アルバム『ザ・カー』

今、チェックしておきたい音楽をゲーテが紹介。今回は、アークティック・モンキーズの4年ぶりの新作となる『ザ・カー』。

アークティック・モンキーズ 『ザ・カー』

PHOTOGRAPH=Zackery Michael

甘美さと不穏さが隣り合う、新境地のサイケデリア

名実ともにUKを代表するロックバンドとして君臨するアークティック・モンキーズ。その魅力は作品ごとに大胆な変貌を遂げる探求精神にある。10代の衝動を疾走感たっぷりに鳴らしたデビュー作から、ヘヴィなギターサウンドと重低音ビートを融合した2013年の名盤『AM』、一転してメロウでレトロなラウンジミュージックを展開し賛否両論を巻き起こした2018年の前作『トランクイリティ・ベース・ホテル・アンド・カジノ』。4年ぶり7作目の新作『ザ・カー』も挑戦に満ちた1枚だ。

全10曲はゆったりとしたテンポのバロック・ポップが中心。優雅なストリングスを軸にしたサウンドは、エンニオ・モリコーネなど1950〜60年代の映画音楽にも通じるものがある。グラマラスで艶のあるアレックス・ターナーの歌声も、どこか演劇的な響きを持つ。全体的にレトロ感を漂わせる音作りは前作の延長線上だが「I Ain't Quite Where I Think I Am」や「Body Paint」など抑制されたバンドサウンドとの融合で、絶妙にモダンな仕上がりになっている。また、ラストの「Perfect Sense」の張り詰めた美しさも胸に迫る。甘美さと不穏さが隣り合う、他にないサイケデリックな世界を堪能できるアルバムだ。

アークティック・モンキーズ 『ザ・カー』

ビート・レコーズ¥2,640。唯一無二の道を進むUKロックバンドの7作目。リスナーを別世界へ誘うような優雅でスリリングなポップソングを追求している。

Tomonori Shiba
音楽ジャーナリスト。音楽やカルチャー分野を中心に幅広く記事執筆を手がける。著書に『ヒットの崩壊』『平成のヒット曲』などがある。

TEXT=柴 那典

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