ロンドンを拠点に世界的に活躍する日本人シンガー・ソングライター、リナ・サワヤマ。約2年半ぶりとなるセカンド・アルバム『ホールド・ザ・ガール(Hold The Girl)』を2022年9月16日にリリースした。話題の2ndアルバムの内容とは。
ポップスターとしての覚醒を果たした感動作
新潟県出身、幼少期に移住したロンドンを拠点に世界的に活躍する日本人シンガー・ソングライター、リナ・サワヤマ。エルトン・ジョンやレディー・ガガとのコラボも注目を集め、サマーソニックでの日本初ライヴも大きな話題を呼んだ。そのタイミングでリリースされる2ndアルバムは、ワールドワイドなポップスターへと飛躍しつつある勢いを感じさせる充実作だ。
2020年リリースのデビューアルバム『SAWAYAMA』ではマイノリティとして受けた差別や偏見に対しての怒りをテーマにした「STFU!」や、気候変動について歌う「XS」などハードでメタリックな曲調に乗せて社会的なメッセージを歌う楽曲が目立っていたが、本作は包容力たっぷりのメロディアスなナンバーが中心。
困難な時期を過ごしていた自身の子供時代を振り返った表題曲、インナーチャイルドに向き合う壮大なパワーバラードの「Phantom」など、パーソナルな思いを綴った楽曲はとても感動的だ。ダンサブルな「Holy」やエネルギッシュなロックナンバー「Frankenstein」などキャッチーな楽曲が満載。バイセクシュアルであることを公言しクィア・アイコンとなっていることも含めて、いわば“次世代のガガ”たる存在感を強く示している。
Tomonori Shiba
音楽ジャーナリスト。音楽やカルチャー分野を中心に幅広く記事執筆を手がける。著書に『ヒットの崩壊』『平成のヒット曲』などがある。