「表現の幅を失う不安はいつもあります」
今、その幅広い演技から、ドラマファンの間で注目を集めている女優・中村ゆりか。
恋愛ドラマ『ギルティ 〜この恋は罪ですか〜』の悪女役やコメディドラマ『女子高生の無駄遣い』の無機質系天才役で異彩を放った。さまざまな顔で魅せる彼女が、自身初となる写真集『Over the moon』を発売する。
「長年の念願がかなって、ようやく完成した感動があります。撮影のイメージは、自分のなかで温めていたものがあったので、それを存分に発揮できました」
清楚なものから小悪魔的なもの、渾身の水着姿まで、実に多彩なカットで、ページをめくるたびに新たな表情が現れる。
「初めて知った人にも、私のいろいろな面を見てもらえるよう考え抜きました。当初6着というコーディネイトも急遽、15着に増やして(笑)。撮影しながら、いろいろなアイデアが湧いてきて、予定になかったことも挑戦しています」
ページ構成にもこだわり、締め切りギリギリで、写真の差し替え指示を出したことも。
「まだ、替えるの? って嫌がられたと思います(笑)」
彼女の本作における気合いのほどが感じられる。
「芝居では、役に没頭するので、今、その瞬間の表情を意識する、ということはないです。役柄に入った結果の顔なり、姿なりをしています。写真撮影では、ロケーションや光の具合なども加味して、今、自分はこのように見えているだろうな、ということを強く意識しました」
こうしたプロ意識については、女優としての経験も大きく関係している。というのも、この世界にスカウトされて今年で10年というキャリアを持つ苦労人でもあるからだ。
「仕事を始めた当初は、子供で経験が浅く、台本に書かれたセリフを読むだけ。けれど、ひとつひとつの作品で出会う監督や演者とのコミュニケーションを通じて、役づくりを深められました。今は、愛情を注いで作品をつくる喜びを感じています」
表現する楽しみをまさに実感している最中。しかし、ふと立ち止まることもあるという。
「いつでも、表現の幅を失ってしまったらどうしよう、という不安は感じていて。作品に出るたびに、周囲の励ましの言葉に後押ししてもらっています。今は、表現者としての責任感も強く感じているので、10年目として、新しいチャレンジのなかで、いろいろな自分が見せられたらと思います」