漫画から得られる体験やワクワク感は、時に仕事のアイデアとなったり、ベンチャーマインドを刺激して起業家たちの背中を押してくれる。ビジネスの最前線で戦う“漫画好き”社長51人に、仕事や人生の指針となっているとっておきの座右の漫画を教えてもらった。
AnyMind Group 共同創業者兼CEO 十河宏輔/『弱虫ペダル』
ロードレースからビジネス哲学を学ぶ
オタク少年・小野田坂道(さかみち)が自転車競技部に入って仲間たちとインターハイ優勝を目指す、スポーツ青春漫画。「坂道のコミットメントの高さと巻きこみ力には影響を受けました。また、個人の才能や能力も重要である一方、レース全体のなかで得手不得手のバランスをとりながら、時には出る、時には引くというチームプレイで最終的な勝利を目指す考えはビジネスにも通じます。マインド面を含め非常にモチベーションを上げてくれる作品です」
Kosuke Sogo
1987年生まれ。マイクロアドに入社し、アジア6ヵ国での事業立ち上げを経験。2016年にAnyMind Groupを起業。マーケティングやD2C支援などの事業を13市場17拠点で展開する。
バルクオム代表取締役CEO 野口卓也/『プライド』
女のバトルに見る“プライド”の根深さと多面性
有名なオペラ歌手であった母を持ち、自身も同じ道を志す資産家の娘・麻見史緒(しお)と、アルバイトをしながらオペラ歌手を夢見る苦学生の緑川 萌。両極の境遇で育ったふたりが、オペラの世界を舞台に火花を散らす。「誰もが二面性を持ち、日々葛藤しながら仕事の道を追求していると思います。同じ目標に向かいながらも、両極端な人生を歩むふたりの主人公の対比を通して、倫理観と感受性が強く揺さぶられることでしょう」
Takuya Noguchi
1989年生まれ。ITベンチャー等複数の企業を立ち上げた後、2013年に男性向け化粧品を扱うBULK HOMME事業を開始。’17年、バルクオムを法人化し、代表取締役CEOに就任。
Finatextホールディングス代表取締役CEO 林 良太/『正直不動産』
何よりも大事なのは顧客と真摯に向かい合う姿勢
不動産業に身を置き、嘘もためらわずに営業成績を上げてきた主人公・永瀬財地は、とある地鎮祭で祠(ほこら)を破壊したことから嘘がつけない体質になってしまう。「顧客に対して真摯に向き合うことの大切さがわかります。特に金融業界では、その意識が大事であるということを改めて実感した漫画です」。“千の言葉のうち真実は3つしかない”といわれる業界で、わがままな顧客やライバル会社相手に、正直営業で奮闘する永瀬の活躍が小気味よい。
Ryota Hayashi
1985年生まれ。2013年、金融のDXを推進し、金融をサービスとして再発明することをミッションに事業を行うFinatextホールディングスを創業。大の読書家(特に漫画)。