漫画から得られる体験やワクワク感は、時に仕事のアイデアとなったり、ベンチャーマインドを刺激して起業家たちの背中を押してくれる。ビジネスの最前線で戦う“漫画好き”社長51人に、仕事や人生の指針となっているとっておきの座右の漫画を教えてもらった。
花まる学習会代表 高濱正伸/『20世紀少年』

『20世紀少年』
浦沢直樹
小学館 全11巻(完全版)
漫画というコンテンツが大衆に与える影響力
主人公・ケンヂが、身の回りで不可解な出来事が続き、子供の頃に空想して書いた“よげんの書”どおりのことが現実で起きていることに気づくことから物語が展開。20世紀末に起こる地球滅亡の危機と、謎の人物“ともだち”の正体を巡る大巨編サスペンス。海外でも高い評価を得て一大ムーブメントを起こした。「登場人物たちの役者感、場面がとにかくいい。映画的で、ひとつの作品が大衆に与える影響の大きさを肌で感じ取った漫画です」
Masanobu Takahama
1959年生まれ。’93年、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、花まる学習会を設立。NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長、日本棋院理事なども兼任する。
RABO代表取締役CEO 伊豫愉芸子/『海のトリトン』

『海のトリトン』
手塚治虫
講談社 全2巻
©手塚プロダクション
命について考えさせられる海洋冒険譚
人魚族の生き残りである少年トリトンと海の支配者ポセイドン一族の戦いを描いた、海洋冒険SF漫画。「私は海洋大学の出身ですが、海や海洋生物に興味を持ったのはこの漫画を小学生の時に読んだ影響が大きいです。海水圧や海流などの仕組みや、イルカをはじめとした生物について詳しく触れられており、海の神秘性に強く惹かれました。また、手塚作品は動物が出てくることも多く、命について考える作品も多いので子供の頃から大好きです」
Yukiko Iyo
1981年生まれ。東京海洋大学大学院博士前期課程修了。リクルートを経て2018年2月22日の猫の日に、猫専用のIoTサービスを展開するRABOを創業した。キャットシッター資格所有。
ヤルキマントッキーズ代表取締役社長 板垣 護/『ヒストリエ』

『ヒストリエ』
岩明 均
講談社 既刊11巻
大事なのは知恵を絞って考え抜くこと
古代ギリシアを舞台にした、岩明均(いわあきひとし)による歴史漫画。「主人公のエウメネスは、周りから嘘をつかれ、裏切られ、良家のお坊ちゃんのポジションから奴隷にまで落ちていきます。そんな心が折れてしまうことが重なる時でも、冷静に現状を分析し、何をするべきか考え、自尊心を失うことなく、決して腐らず、自分の知恵一本で徐々に味方を増やし、さまざまな大事を成し遂げていきます。そうやって生きていく姿は、見ていて勇気づけられました」
Mamoru Itagaki
1983年生まれ。2015年、スマホ向けゲームの開発などを行うヤルキマントッキーズを設立。またe-sports発展にも力を注ぎ、プロゲーミングチーム「TEAM iXA」の運営も行う。
Plott代表取締役CEO 奥野翔太/『東京卍 リベンジャーズ』

『東京卍 リベンジャーズ』
和久井 健
講談社 既刊19巻
胸が熱くなる不良たちの友情
『新宿スワン』で衝撃の連載デビューを果たした作者が贈る最新巨編。元不良のダメフリーターが時空を超える能力に目覚め、殺される運命にあるかつての恋人を救うべく奮闘する。「ヤンキーの純情さとタイムリープによるサスペンス要素をうまく融合させていて、コンテンツを作る立場から見ても奇跡的な面白さの作品だと思います。ちなみに、僕は千冬という主人公の相棒的キャラクターが大好きで、仲間想いの彼にいつも励まされています」
Shota Okuno
1995年生まれ。2017年にYouTubeアニメの制作・配信事業を行うフォボ(現Plott)を起業。「テイコウペンギン」「混血のカレコレ」などの作品を手がけ、総ファン数は160万人超。