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2018.03.28

『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』滝藤賢一の映画独り語り座38

役者・滝藤賢一が毎月、心震えた映画を紹介。超メジャー大作から知られざる名作まで、見逃してしまいそうなシーンにも、役者のそして映画のプロたちの仕事はある! 役者の目線で観れば、映画はもっと楽しい!!

『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』

いろいろなところに遊びがちりばめられていて、何度も観たくなる!

あれ? この映画、なんか観たことある……。天下のスティーヴン・スピルバーグの新作にこんな不遜な感想を持ったのは2008年に公開された原田眞人監督の『クライマーズ・ハイ』と内容がすごく似ていたからです(ハイ、私も出演させていただいております)。 

両作とも小さな新聞社が舞台。ある事件が起き、全国紙を出し抜くスクープをものにできるチャンスが巡ってくる。載せるか載せないかの攻防戦の物語。『クライマーズ・ハイ』では情報の裏を確実に取ることができず、全権デスクの悠木和雄に判断が委ねられた。一方でこっちの作品では情報源は確か。しかし、国防に関わる内容で、載せれば当時のニクソン大統領から起訴される可能性がある。 

って今、私、冷静に説明しておりますが、最初の1時間は何が起こっているのかチンプンカンプンでした。人間関係も複雑でついていくのが大変……。でもところどころでちりばめられた笑いの要素、そして最後の怒濤の攻防でそんなことはもう、どうでもよくなります(笑)。 

ベトナム戦争のシーンから始まる冒頭にも引きこまれます。『プライベート・ライアン』のようなド派手な戦闘シーンではありませんが、そこはさすがのスピルバーグ監督。雨のジャングルを米兵が行進していると、ベトコンから総攻撃され、あっけなく死んでいく……。 

そんな状況を政治家は「優勢」と言い、世論を利用して国民を騙していく。欺瞞(ぎまん)に憤った人物が、歴代の大統領が勝てないとわかっていながら戦争を続けていることを暴く文書を盗みだす。 

メリル・ストリープがワシントン・ポストの社主で、ポストの編集局長をトム・ハンクスが演じているのですが、なんとふたりは初共演だそうです。トム・ハンクス級の俳優が脇役に徹し、大勢の新聞局員に紛れて芝居しているのが新鮮です。 

スクープを抜くエース記者の活躍はもちろん、下っ端のバイト君から輪転機を回す職人まで、働いている姿をきっちり描いていて、チームワークにしびれる! あわせて『クライマーズ・ハイ』もご覧ください!

『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書
米国の歴代大統領がひた隠したベトナム戦争を巡る重要機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」のスクープを巡る物語。株公開を控えるなか、記事掲載に揺れるワシントン・ポストのバックヤードをメリル・ストリープ、トム・ハンクスをはじめ、役者たちの渋い演技合戦で見せる
2017年/アメリカ
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:メリル・ストリープ、トム・ハンクスほか
配給:東宝東和
3月29日よりTOHOシネマズ日比谷にて特別先行上映/ 3月30日より全国公開

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滝藤賢一の映画独り語り座

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COMPOSITION=金原由佳

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