ENTERTAINMENT

2017.10.05

『ドリーム』滝藤賢一の映画独り語り座33

役者・滝藤賢一が毎月、心震えた映画を紹介。超メジャー大作から知られざる名作まで、見逃してしまいそうなシーンにも、役者のそして映画のプロたちの仕事はある! 役者の目線で観れば、映画はもっと楽しい!!

『ドリーム』

僕はいかに恵まれた環境で仕事ができているのか改めて痛感......。

映画好きの方なら、理想の男性像を演じる役者の姿に影響を受け、真似しまくっていたなんてことが一度はあるのではないでしょうか。特に10代の時に憧れた映画俳優は30代、40代になっても、無条件にずっとヒーロー。生き様のお手本になっていきます。

滝藤にとって『ラスト・ボーイスカウト』のブルース・ウィリスは別格として、かくありたいと常に思い返すのが『アンタッチャブル』や『ボディガード』のケビン・コスナー。責任感があり、タフでセクシーな男。なんといっても私が生まれて初めてのデートで観た映画も『ボディガード』でした。忘れもしない、高校1年の3月のことです。

最新作『ドリーム』ではケビン・コスナーも60代になり、やや身体は重そうでしたが、相変わらず最高に渋くて粋なオヤジっぷり。今回もやはり見習いたい男性像でした。

さて、今作の舞台は1950年代末から1960年代半ばのNASA。ソ連が57年に人工衛星スプートニク1号の発射を成功させ、61年にはユーリ・ガガーリンが宇宙飛行士として初の宇宙へ。後れをとったアメリカが威信をかけて宇宙での有人飛行を目指したマーキュリー計画のプロジェクト秘話を描いたものです。

コンピュータがない時代、人の計算力に頼るしかなく、数学の天才である黒人女性キャサリンが派遣されてきます。白人と有色人種の分離政策が行われている時代。黒人専用の食堂、黒人専用のコーヒーポット、あげくの果てにはデスクから黒人専用トイレまで行くのに800mの道のりという始末。心が折れる寸前まで追い込まれながらも有人飛行を成功させるという目的に向かって躍動する黒人女性たち。彼女たちの姿は魅力的で美しい! 重くなりがちな黒人差別問題もポップかつユーモア満載に描いているので、何度でも観たくなる痛快さ!

ファレル・ウィリアムスの音楽もファンキーで素敵。つい劇場で踊りたくなってしまうほど、私、興奮いたしました。あぁ、なんか『ボディガード』観たくなってきた。借りてこよう。

『ドリーム』

(C)2016Twentieth Century Fox

『ドリーム』
2016年/アメリカ
監督:セオドア・メルフィ
出演:タラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー ほか
配給:20世紀FOX映画
9月29日より全国公開

COMPOSITION=金原由佳

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