CAR

2021.10.06

ボルボで体験する、自然とアートの九州の旅

自然と共存している国であるスウェーデン生まれの自動車メーカー、ボルボ。安全なクルマという印象が強いが、いち早く電動化を実現したメーカーでもある。そんなボルボに乗って、自然とアートの旅に出掛けてみた。

自然とアート、そしてテクノロジーの調和を体験した九州の旅

江戸時代から続く森でアート体験

ボルボから九州を旅しないかと誘いを受けた。ボルボ・カー・ジャパンはいま佐賀県の武雄温泉・御船山楽園で開催されている「チームラボ かみさまがすまう森」に協賛しているのだという。

御船山楽園は、1845年(江戸後期)に森のなかにつくられた庭園だ。50万平米にも及ぶ敷地内には樹齢300年を超える大楠など、古来より大事にされてきた木々が生い茂り、春は桜やつつじ、秋は紅葉の観光スポットとしても知られた場所だ。

アート展「チームラボ かみさがすまう森」

CNNの「行くべき世界の屋外アート展 2021」にも選ばれた、チームラボのアート展「チームラボ かみさがすまう森」は50万平米にも及び大庭園、御船山楽園が舞台。チームラボの人気作品の一つである水面へのプロジェクション。今回のアート展では、御船山楽園の池を使った広大なものが用意されていた。

アートコレクティブ(芸術家集団)として名高いチームラボの活動は実に多岐にわたる。現在、東京だけでも3つのミュージアムが開設されており、京都や福岡をはじめ、ニューヨーク、シンガポール、上海など海外でも常設展を構えている。

この展示がユニークなのは、森を舞台としていることだ。「自然が自然のままアートになる」というコンセプトのもと、木々をはじめ巨石や洞窟のような長い時間経過によってつくられた自然の造形に、デジタルテクノロジーによって彩りを加えている。

「具象と抽象 - 神木の森の入口」

「具象と抽象 - 神木の森の入口」と題された作品。樹齢3000年以上の武雄神社の神木である大楠に続く庭園と森との境界にあり、コンピュータプログラムによってリアルタイムで線の集合が生まれて広がっていく。

ボルボは、自動車メーカーとして地球環境やサステナビリティの問題に向き合っていくなかで、自然とデジタルテクノロジーの融合により「長い時間の連続性の上にある生命」を表現するこのプロジェクトに共感したという。

旅のパートナーは上質なミドルサイズSUV

夕方、福岡空港に到着すると駐車場には「XC60リチャージプラグインハイブリッドT8」が用意されていた。2030年のフル電動化に向けて邁進するボルボの最新ラインアップは、PHEV(プラグインハイブリッド)か、MHEV(48Vマイルドハイブリッド)のみ。こちらはその名のとおり、前者だ。

「長い時間の連続性の上にある生命」

御船山楽園を舞台にしたチームラボのアート展は今回で7回目の開催。今回は、自然とデジタルテクノロジーの融合により「長い時間の連続性の上にある生命」を表現するこのプロジェクトに共感したボルボが協賛している。

スカンジナビアンデザインをまさに体現したようなインテリアは、最新ボルボモデルの白眉だ。表皮にソフトな肌触りのパーフォレーテッド・ファインナッパレザーを使用したシート、流木の風合いを再現したドリフト・ウッドと呼ばれる本物の木を用いた加飾パネル、スウェーデンのクリスタルメーカーであるOrrefors社のガラス職人が手作業で仕上げたシフトノブと、見ても触れても心地よい空間を作り出している。

XC60のインテリア

旅のパートナーであるXC60のインテリアは、北欧のスカンジナビアンデザインによる上質で落ち着きあるもの。スウェーデンのクリスタルメーカーであるOrrefors社の職人が手作業で仕上げたシフトノブなど、他メーカーにはない独特の心地よい空間に仕上げられている。

デフォルトのハイブリッドモードで走りだす。これはバッテリー残量があればEV走行をし、状況に応じてエンジンを始動するなどEV走行とエンジン走行を最適に切り替えてくれるもの。

満充電の状態であれば約40kmのEV走行が可能というから、家に充電設備があって毎日充電可能なら、近所への買い物や子供の送り迎えなどは、ほぼEVとして使えるだろう。

スタート時のバッテリー残量は半分ほどでメーター内にはEV走行可能距離16kmと表示されていた。そっとアクセルペダルを踏み込むと、スルスルと音もなくいかにもモーター駆動らしく力強く発進した。

ボルボの先進技術を試す絶好のドライブシーン

福岡空港から約90kmの御船山楽園ホテルを目指す。福岡都市高速環状線に入り、九州縦貫自動車道を南下。九州横断自動車道/長崎自動車道を西へと向かうルートだ。しばらく走行していると、バッテリー残量の低下にともないエンジンが始動した。従来のPHEVというと、エンジン始動時の振動や騒音が気になったものだが、XC60は音も振動もうまく抑え込まれており、エンジンの存在を意識することはほとんどない。

PHEV(プラグインハイブリッド)

デザイン性や乗り心地も秀逸だが、注目したいのはパワーユニット。ボルボは販売される全ての車を電動化しており、試乗したXC60リチャージプラグインハイブリッドT8は、ガソリンエンジンとモーターを組み合わせたPHEV(プラグインハイブリッド)だ。

九州横断自動車道に入ると、パイロットアシストを起動する。前走車と一定の車間距離をキープしながら追従し、ステアリングに手をそえておけば、車両を車線の中央に維持しようと操舵をアシストしてくれる。ボルボは他社に先駆けADAS(先進運転支援システム)を全モデルに標準採用してきただけあってアップデイトを重ねており、レベル2の自動運転の精度が高まっていることがわかる。

途中、走行モードをチャージモードに切り替えた。これはエンジンを積極的に発電に使ってバッテリーに充電するというもの。もちろん燃費は落ちるが、例えば深夜や早朝に閑静な住宅街へ帰宅する際に、あらかじめチャージしておいて、自宅近くなれば、電気モーターのみで走行するといった使い方が有用だ。今回は事前にチャージしておいて、武雄北方ICで高速をおりると、最終目的地までの残り約6kmの一般国道区間をEV走行重視のピュアモードで走った。神様が住まう神聖な場所へ向かうには最適だろう。

XC60リチャージプラグインハイブリッドT8

XC60リチャージプラグインハイブリッドT8は、バッテリーのみのEVモードでも走行可能。その走行可能距離は約40kmで、日常的な近所への買い物や通勤といった乗り方であれば2酸化炭素を排出しないゼロエミッション走行が可能だ。

その夜は、3時間をかけて森の中を歩いた。それでも駆け足ですべてをじっくり鑑賞できたわけではない。11月7日まで開催されているというので、機会があればもう一度訪れてみたいと思った。

SUV+PHEVは現代におけるベストな選択

翌朝、『千と千尋の神隠し』のモデルになったという武雄温泉楼門を見て北上し、唐津へと向かう。目指すは、日本本土最北西端という鎮西町波戸岬。目的は景色でなく、名物のさざえのつぼ焼きだ。そして“呼子のイカ”で名高い呼子町へと向かう。朝市には多くの観光客が訪れることでも知られるが、到着したのは午後遅めだったこともあり、またコロナ禍もあって、漁港は閑散としていた。ここもいずれ再訪したい場所になった。

XC60

XC60は大人3人分の1泊分の荷物に撮影機材が積めるほど室内空間に十分な広さがある。日常シーンはもちろんだが、オフシーンでのドライブにも相応しいオールマイティな一台といえる。

東へ約70km、福岡空港へと向かう。帰路はハイブリッドモードでたんたんと走った。XC60は全長4690mm、全幅1900mmと決して小さなクルマではない。しかし、この旅をとおしてその大きさを感じることはまったくなかった。

大人3人の1泊2日分の荷物と撮影機材を搭載してだから、もちろん実用性にもなんの不満もない。カタログ燃費はリッター12.6kmで、今回の旅では約リッター10kmといったところだった。

現行型のXC60

現行型のXC60は2017年に発表され、同年10月に日本市場でも販売を開始。今年9月にはフロントマスクのデザインを小変更し、新インフォテイメント・システムを導入した2022年モデルが登場(写真の試乗したXC60は2021年モデル)。

いま日増しにBEVの注目度が高まっている。実際にボルボも年内に初のBEV、C40リチャージを導入するとアナウンスしている。しかし、現状のバッテリー性能や日本の充電環境においては、BEVは家や職場を中心とした特定エリア内を移動するモビリティとして捉えるのが現実的だろう。

XC60と丸1日をともにして、こと“旅をする”という観点でみれば、現時点ではPHEVが最適解なのだという思いを強くした。

 

問い合わせ
ボルボ・カスタマーセンター TEL:0120-55-8500

TEXT=藤野太一

PHOTOGRAPH=河野敦樹

COOPERATION=iconic(編集)

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