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2021.07.20

フォルクスワーゲンの不朽の名作「ゴルフ」の現在地とは?

歴史ある名車の”今”と”昔”、自動車ブランド最新事情、いま手に入れるべきこだわりのクルマ、名作映画を彩る名車etc……。本連載「クルマの教養」では、国産車から輸入車まで、軽自動車からスーパーカーまで幅広く取材を行う自動車ライター・大音安弘が、さまざまな角度から、ためになる知識を伝授する!

ビートルと双璧をなしてきたワーゲンのベンチマーク

フォルクスワーゲンと聞いて、多くの人が思い描くモデルは、大きくふたつある。ひとつは、フォルクスワーゲンの原点である「ビートル」の愛称で親しまれた「タイプ1」だ。1938年の誕生以来、生産地や主要マーケットこそ変化したが、2003年まで生産を継続。質実剛健な作りと現実的な価格のビートルは、ドイツの国民車に留まらず、世界の国民車へと成長した。その累計生産台数は、2100万台以上にも上る。

もうひとつの代表的なフォルクスワーゲンといえば、お馴染みの「ゴルフ」。1974年に誕生した初代ゴルフは、ビートルのバトンを受け継ぎ、現代のピープルカーとして送り出されたもの。生誕45周年となる2019年時点での累計生産台数は3,500万台以上となり、既にビートルを越える。日本でも、’75年より輸入を開始。輸入品が高価であった当時は、庶民派のゴルフといえど、やはり贅沢なクルマ。当時の日産サニーの「エクセレント1400DX」が、60万円位だったのに対して、初代ゴルフの「L」は、なんと約160万円。それでも、新たな欧州車へのエントリーモデルとして、高い注目を集め、日本でドイツ車が持つ良きイメージの構築に大きく貢献した。そして、そのスペックだけで語れない優れた性能を、世界中の自動車メーカーが意識し、研究。歴代モデルは、同クラスのベンチマークとされてきた。

そんな輸入車の大定番モデル「フォルクスワーゲン ゴルフ」が、8年ぶりにフルモデルチェンジを果たした。第8世代となる新型のトピックとして、「デジタル化」、「電動化」、「ドライバーアシスタンスシステム(運転支援機能)」の3つが掲げられている。どれも最新型車でよく話題となるトピックではあるが、これは実用車であっても、時代の最先端を追求し、最良なゴルフでありたいという想いともいえるだろう。

5ドアハッチバックのスタイリングは、最新型でも、しっかりとゴルフっぽい。その理由には、キャビンの広さを意識したオーソドックスな5ドアハッチバックスタイルを継承している点も大きいが、やはり特徴的なCピラー(リヤドアとテールゲートの間の柱部分)の幅広いデザインにある。これは歴代ゴルフに受け継がれるアイコンのひとつ。よりスタイリッシュなデザインに仕上げれば、新鮮さや若々しさなどをアピールできるはずだが、敢えて定番とするのは、しっかりとしたボディ構造による安全なキャビンを主張するためでもあるのだろう。家族で使われることも多いゴルフだけに、ドライバーが安心できるデザインは、重要なセールスポイントといえる。もちろん、先進感もしっかりと主張するべく、最新式の薄型LEDヘッドライトなどもしっかりと取り入れる。このLEDライトが生む優れた視界と視認性は、安全性能にも大きく貢献するものだ。

インテリアに目を移すと、先進性を意識させるアイテムに溢れている。特にコックピットは、先代のゴルフ7に感じたオーソドックスさが取り払われ、未来的な雰囲気に溢れている。これが新型のアピールする「デジタル化」だ。多彩な表示が可能なデジタルメーターとタッチスクリーン操作を基本としたインフォテイメントシステムの組み合わせに加え、なんとシフトレバーもバイワイヤーに。「P(パーキング)」は、プッシュボタン式となり、ギアの変更は、トグル式レバーで行う。その操作性だが、配置はレバー式オートマチックと同じ「R」「N」「D」なので、違和感なく扱うことが出来る。さらにメカスイッチも大幅削減し、集約することで、新しさを強調している。ただ各機能の配置自体は、あるべき場所をしっかりと意識し、先進性の中にも、ゴルフ的な使いやすさは重視されているようだ。

今や新型車のお約束となりつつある電動化だが、ゴルフ8では、導入される1.0L直列3気筒ターボと1.5L直列4気筒ターボをマイルドハイブリッド化した。これは48Vハイブリッドシステムで、ベルト駆動式スタータージェネレーターとリチウムイオンバッテリーを組み合わせたもの。このスタータージェネレーターは、発電によるエネルギー回生に加え、走行時のモーターアシスト、アイドリングストップからの復帰時のエンジンスターターの役目まで担う。エントリーとなる1.0Lターボエンジンは、ボディサイズからすると小さいエンジンに思えるが、110ps/200Nmと同クラスとしては十分な性能を持つ。

上位の1.5Lターボエンジンが150ps/250Nmという点を踏まえると、1.0Lターボエンジンは頑張っている。そのコンパクトエンジンを縁の下で支えるのが、マイルドハイブリッド。2種類のエンジン共に、加速時にはエンジンをモーターアシストし、スムーズな走りを実現しているが、その恩恵は、1.5Lターボ車よりも分かり易い。なので、マイルドハイブリッド付きの1.0Lターボ車ならば、ゴルフでも十分と感じさせる。もちろん、エンジンが小さい分、価格も抑えられる点も見過ごせない魅力だ。

ただし、あなたが走りへのこだわりが強い人だと、少し悩ましい話題が待ち構える。基本的な構造は全車共通なのだが、なんとリヤサスペンションだけは異なるのだ。1.0Lターボ車は、トーションビーム式で、1.5Lターボは、マルチリンク式に。

ざっくりといえば、マルチリンク式の方がより複雑な動きに対応できるので、路面追従性が高くなる。これがしっとりした走りに繋がるのだ。しかし、トーションビームがダメというわけではなく、このクラスの前輪駆動車には、よく使われているものなのでご安心を。基本的には質感の差だと思えばよい。

アクティブ ベーシックなら、300万円切り

今回の試乗車は、スポーティなスタイルの「Rライン」で、1.5Lターボ車だ。力強い加速と安定した足回りは、まさにドイツ車らしい味わいが強い。ただ375.5万円と少々お高い。標準デザインの「スタイル」に変更しても、5万円差なので、ドイツ車らしいスポーティさを求めるなら、「Rライン」を選びたくなるはず……。しかし、しかし、事前に乗った1.0Lターボも全く悪くない。従来型のゴルフ7の1.2Lターボエンジン車よりも、走りの質感も高まっていることが実感できた。そこでエントリーゴルフに注目してみると、1.0Lターボのエントリーグレード「アクティブ ベーシック」なら、300万円切りの291.6万円なので、Rラインよりも83.9万円も安い。しかも、ゴルフ8のエントリーグレードは、見た目の価格だけでなく、選んでもらえるベーシックを基本としたため、衝突被害軽減ブレーキやアダクティブクルーズコントロール(ACC)、リヤカメラ、側後方接近車警報などは日常的に役立つ先進の運転支援機能は、しっかりと備わる。これは新ゴルフが特徴のひとつに「ドライバーアシスタンス」を掲げた姿勢にも現れている。

そもそもカーナビは、全車でオプションだし、標準のインフォテイメントシステムは、Apple CarPlayとandroid Autoに対応している。今の時代は、スマホナビで十分、いやスマホナビを好む人も多いはずだ。確かに日本の経済状況を鑑みると、300万円台のゴルフは安価とは言えない。ただシンプルな内容でも時代が求める装備をしっかりとおさえていることを考慮すれば、ゴルフのエントリーグレード「アクティブ ベーシック」のコスパは悪くないことがわかる。今の時代、国産車も同クラスでも300万円の壁はそう遠くなく、簡単に突破してしまうからだ。もちろん、この後には、ワゴンの「ヴァリアント」、高性能な「GTI」と4WDスポーツ「R」などが控える。もちろん、どのゴルフが最良かは、人それぞれだ。ただ上を見れば、他の選択肢も見えてくる。だからこそゴルフ8は、最もエントリーなアクティブ ベーシック一択。それこそ、私は最良と感じるのだ。何よりゴルフは、世界のピープルカーとして生まれたのだから。

TEXT=大音安弘

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