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2020.11.03

【試乗】メルセデス・ベンツ「Eクラス」最新モデルの実力やいかに――クルマの教養

歴史ある名車の"今"と"昔"、自動車ブランド最新事情、いま手に入るべきこだわりのクルマ、名作映画を彩る名車etc……。国産車から輸入車まで、軽自動車からスーパーカーまで幅広く取材を行う自動車ライター・大音安弘が、さまざまな角度から"クルマの教養"を伝授する!

Eクラス

後輪駆動セダンの中核的な役目を果たす「Eクラス」

ドイツの高級車として、日本でも絶対な信頼を誇るメルセデス・ベンツ。近年は、時代のニーズを読み取り、コンパクトカーからSUVまで幅広く取り揃えるようになった。しかし、その本流がセダンを中心としたモデルであることは今も昔も変わらない。その中でも中核的な役目を果たすのが、今回の主役「Eクラス」である。

メルセデス・ベンツのラインアップのコアとなる後輪駆動セダンのラインアップは、車格順に「Cクラス」、「Eクラス」、「Sクラス」の3車種がある。その車格とサイズで中間を担うのが、Eクラスだ。真ん中というポジションは、色々な意味で両者の魅力を受け継いでいることが多いが、それはEクラスにも当てはまり、活躍の幅の広さへと繋がっている。海外では、オーナー自らステアリングを握るオーナーカーやエグゼクティブたちに支給されるカンパニーカー、そして、タクシーにも使用されている。

Eクラス

そのポジションを日本車に置き換えるならば、「トヨタ クラウン」を想像すると分かり易い。さらに多様なニーズを受け止めるために、多彩なボディバリエーションを誇っており、4ドアセダンを始め、5ドアステーションワゴン、2ドアクーペ、2ドアオープンカー「カブリオレ」、クロスオーバーワゴン「オールテレイン」と5タイプにも上る。これはメルセデス・ベンツの中でも最多である。

日本でもEクラスの愛用者は多く、特に初代となるミディアムクラス(124型)は、発売より34年が経過した今も愛車する人が少なくない。長寿命は、オーナーの努力の賜物でもあるが、良いものは長く愛せるの好例ともいえるだろう。現行型Eクラスは、そのミディアムクラスから数えて5世代目に当たる。今秋、マイナーチェンジが実施され、最新世代へとアップデートされた。

Eクラス

シャープなエクステリアが最大の進化

最新モデルの最大の進化は、シャープなエクステリアだ。特に日本仕様では、基本的には、スポーティなスタイルの「AMGライン」を標準化。このため、落ち着いたエレガントなイメージから若々しくスポーティなクルマへとイメチェンを図った。スポーティなデザインが主力となるのは、新型の魅力を強調する意味もあるが、それだけ日本では、オーナードライバーのニーズが高いということだろう。

全長4.9mほどと大きなボディを持つが、主力となるのは1.5Lと2.0Lの4気筒ターボエンジンだ。いわゆるダウンサイズエンジンで、これも時代の流れを感じさせるところだが、その性能にも妥協はない。マイルドハイブリッド仕様となる1.5Lターボ搭載の「E 200スポーツ」では、最高出力184ps、最大トルク280Nmを、2.0Lターボ搭載の「E 300スポーツ」では、最高出力258ps、最大トルク370Nmとそれぞれ発揮する。数字だけでも、「E 200スポーツ」で十分なことは一目瞭然。もちろん、上を望む人には大排気量エンジンやクリーンディーゼルも用意されている。

Eクラス

今回は、セダンとステーションワゴンの「E 200スポーツ」、クーペとカブリオレの「E 300スポーツ」の4台に試乗した。ボディタイプこそ全く異なるが、全車に共通するのは、運転のし易さと静粛性の高さ。いずれも全長4.9m前後と車幅1.85mmほどと大きめだが、車幅が掴みやすく、狭い道でも不安なく進行することが出来る。これはダッシュボードが直線的なデザインや前方視界の良さが貢献している。また運転の要であるステアリングも握りやすい形状をしているので、操作がしやすい。大型の上級車だが、様々な人が運転するからこそ、扱いやすさにも十分配慮されているのだろう。

個別の特徴としては、セダンとステーションワゴンでは大型ボディを生かした後席の広さが魅力だ。特に足元の広さは、乗降性やロングドライブでの快適さに繋がる。クーペやカブリオレは、前席主役の構造上、セダンなどには劣るが、キャビン自体が広いため、実用十分なスペースを確保する。たまに後席を使う人でも、クーペやカブリオレも躊躇なく選べるのは嬉しいところだ。

Eクラス

動力性能は、やはり「E 200スポーツ」で全く不足はない。これは加速時や変速時に動力をアシストするマイルドハイブリッドの恩恵も大きい。よりモーターのアシストでより滑らかなエンジンフィールを実現しているのだ。

ただスポーティさでいえば、500㏄大きい「E 300スポーツ」が勝る。パンチの効いた加速力が味わえ、高回転までスムーズに吹けあがるエンジンの存在感をより感じられるのだ。ただ主力の4気筒で満足感を与えるだけでなく、明確な差別化を演出には、ドイツ車らしい実直なクルマ作りの表れだろう。

Eクラス

そんなEクラスで、もっとも魅力的なボディタイプと挙げて欲しいといわれると、なかなか難しい。このクラスだと、たとえ2ドアのクーペでも、実用性が高いからだ。ただ新型は、セダンをスポーツに振ったことで、それぞれのキャラがより差別化されたと感じる。実用性とスポーティさを求める欲張りな人には、セダンがベスト。しかし、積載性重視ならステーションワゴンだし、美しさと贅沢さを求めるならクーペを。そして、開放感ならカブリオレに敵うものはない。目的が定まれば自ずと選択は絞られてくる。

現実的な選択でいえば、一通り装備が揃い、TPOを選ばない万能選手、セダンの「E 200スポーツ」がベターだろう。上級車こそ、エントリーが最もおいしかったりするものなのだ。ただこの日は、穏やかな秋晴れの日。まさにカブリオレ日和である。贅沢な選択だが、「人生一度はオープンカーに乗ってみるべき」と思う私は、こんな日にカブリオレと巡り合えば、押したくなるのも必然。ただその対価は、このクラスとなると大きなものとなることだけが悩ましい。

Eクラス

TEXT=大音安弘

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