ART

2022.06.08

【李禹煥】東京初! 大規模回顧展を国立新美術館で開催

「もの派」を代表する美術家、李禹煥(リ・ウファン)が、東京では初となる大規模な回顧展を開催する。初期作品から、彫刻の概念を変えた〈関係項〉シリーズ、野外に展示される大型作品までが一挙に集結するほか、新作発表も予定しているという。

李禹煥01

李禹煥、鎌倉にて、2022年
Photo© Lee Ufan, photo: Shu Nakagawa

李禹煥が自ら展示構成を考案

東洋と西洋のさまざまな思想や文学をベースに、1960年代から現代美術に関心を深め、’60年代後半より本格的に制作を開始した李禹煥は、視覚の不確かさを乗り越えることをテーマに、自然や人工の素材を節制の姿勢で組み合わせ提示する「もの派」と呼ばれる動向を牽引したアーティストだ。

国立新美術館開館15周年を記念して企画された本展は、アーティスト本人が構成を考案。もの派に至る以前の初期作品から最新作まで58点(予定)が集結し、彫刻と絵画の2 つのセクションに分け、それぞれ時系列的に理解できるように展示される。

李は2014年にフランスのヴェルサイユ宮殿を舞台に個展を開催、そこでは2つの石が両脇を支えるように配された、ステンレスの巨大なアーチ状の野外彫刻《関係項―ヴェルサイユのアーチ》が設置され、大きな話題を呼んだ。本展でも、野外展示場でアーチ状の野外彫刻の新作が披露される予定だ。

「自己は有限でも外部との関係で無限があらわれる。表現は無限の次元の開示である」という李禹煥の思想を体感し、その作家人生の軌跡をたどる本展は、この夏注目の展覧会になることは間違いない。

李禹煥02

《関係項》 1968/2019年 石、鉄、ガラス
石:約80×60×80cm、鉄:240×200×1.6cm、ガラス:240×200×1.5cm
森美術館、東京 Photo: Kei Miyajima
1968年頃から制作された〈関係項〉は、主に石、鉄、ガラスを組み合わせた立体作品のシリーズ。

李禹煥03

《点より》 1975年 顔料、膠/カンヴァス 162×292cm 国立国際美術館

李禹煥04

《線より》 1977年 岩絵具、膠/カンヴァス 182×227cm 東京国立近代美術館
1970年初頭から描き始めた〈点より〉と〈線より〉のシリーズは、色彩の濃さが次第に淡くなっていく過程を表現。

国立新美術館開館15周年記念 李禹煥
会期:2022年8月10日(水)〜11月7日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
開館時間:10:00〜18:00(金・土曜は〜20:00)
※入場は閉館の30分前まで
休館日:火曜
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)

李禹煥05

李禹煥(リ・ウファン)
1936年韓国慶尚南道生まれ。ソウル大学校美術大学入学後の1956年に来日し、日本大学文学部で哲学を学ぶ。1960年代末から始まった戦後日本美術におけるもっとも重要な動向の一つ、「もの派」を牽引した作家として広く知られている。
李禹煥、フランス、アルル、アリスカンにて、2021年 © StudioLeeUfan, photo: Claire Dorn

TEXT=ゲーテ編集部

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