「もの派」を代表する美術家、李禹煥(リ・ウファン)が、東京では初となる大規模な回顧展を開催する。初期作品から、彫刻の概念を変えた〈関係項〉シリーズ、野外に展示される大型作品までが一挙に集結するほか、新作発表も予定しているという。
李禹煥が自ら展示構成を考案
東洋と西洋のさまざまな思想や文学をベースに、1960年代から現代美術に関心を深め、’60年代後半より本格的に制作を開始した李禹煥は、視覚の不確かさを乗り越えることをテーマに、自然や人工の素材を節制の姿勢で組み合わせ提示する「もの派」と呼ばれる動向を牽引したアーティストだ。
国立新美術館開館15周年を記念して企画された本展は、アーティスト本人が構成を考案。もの派に至る以前の初期作品から最新作まで58点(予定)が集結し、彫刻と絵画の2 つのセクションに分け、それぞれ時系列的に理解できるように展示される。
李は2014年にフランスのヴェルサイユ宮殿を舞台に個展を開催、そこでは2つの石が両脇を支えるように配された、ステンレスの巨大なアーチ状の野外彫刻《関係項―ヴェルサイユのアーチ》が設置され、大きな話題を呼んだ。本展でも、野外展示場でアーチ状の野外彫刻の新作が披露される予定だ。
「自己は有限でも外部との関係で無限があらわれる。表現は無限の次元の開示である」という李禹煥の思想を体感し、その作家人生の軌跡をたどる本展は、この夏注目の展覧会になることは間違いない。
国立新美術館開館15周年記念 李禹煥
会期:2022年8月10日(水)〜11月7日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
開館時間:10:00〜18:00(金・土曜は〜20:00)
※入場は閉館の30分前まで
休館日:火曜
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)