2021年に、現代アートの収集をはじめて10年という節目の年を迎えたアートコレクターの桶田ご夫妻。2019年4月に、お二人が収集したコレクション初の一般公開となる「OKETA COLLECTION: LOVE @ FIRST SIGHT」を開催して以来、当展示会は毎年スパイラルガーデンで開催されている。今回、ゲーテ編集部員が現在開催中の「OKETA COLLECTON: THE SIRIUS」のプレビューに一足先に訪れた。
コロナ禍だからこそ、日本のアート作品で世の中を元気に
ゲーテウェブサイトの連載「アートというお買い物」にも登場いただいた桶田俊二・聖子ご夫妻が、今最も輝いていると思うアーティストの作品の数々を展示する「OKEA COLLECTION: THE SIRIUS」。アートコレクターに人気がある著名なアーティストの作品などが一堂にかえす貴重な展示会が、現在、南青山のスパイラルガーデンにて開催されている。ゆっくりと寛げるカフェの横に並べられたアート作品はまさに圧巻。内覧会の当日には、桶田ご夫妻も実際に会場に訪れ、楽しげに作品に対する想いや思い出を語った。
長年、ファッションビジネスに携わってきたご夫妻は、古美術や骨董品などの収集からはじまり、2010年1月10日にドキュメンタリー番組で草間彌生さんの作品に感銘を受けたことをきっかけに現代アートの収集を本格的にスタート。当時、80歳前後だった草間彌生さんの力強い芸術作品に心が震え、思わず104(電話番号案内)に電話してギャラリーを探したという。
ご夫妻は、2021年にも60年代から90年代⽣まれの4世代 (4Generations) をテーマにした展覧会「OKETA COLLECTION:4G」を開催。桶田俊二さんは、当時のゲーテの取材に「肌身を通してカッコいいな、素敵だなと感じた自分たちの気持ちに、素直に従うようにしています。アートには作品の歴史的意義や難しい理論づけも付いて回りますが、そういうのは専門家の方に任せればいいかなと」と答えている。
今回の「OKEA COLLECTION: THE SIRIUS」では、日本国内で開催されるアート展に⽬を向けた、この2年の間に収集した作品を中心に展示。これまで世界を旅しながら多くのアーティストや作品に触れてきたご夫妻だが、2019 年から国際展やアートフェアの延期や中⽌が相次ぎ、海外への渡航が困難に。そんな中でも、未来を明るく輝かせてくれるようなパワーを感じる作品を求めて、日本でコレクションを続けてきたという。
直感を大切にしながら肌身を通して選んだコレクションだからこそ、見る人に驚きや感動を与えられる。ご夫妻のアートに対する情熱がひしひしと伝わってくる会場は、当日に訪れた多くのメディア関係者にも輝いて見えたことだろう。少なくとも自分には、現代アートの奥深さやこれからの進化の可能性が感じられる貴重な展示会だった。
今回の展示スペースにも、井田 幸昌、猪瀬 直哉、梅沢 和木、大山 エンリコ イサム、加賀 温、川内 理香子、小畑 多丘、SHUN SUDO、田村 琢郎、仲 衿香、中園 孔ニ、中村 萌、水戸部 七絵、南 依岐、山口 歴など、今注目のアーティストの作品が多数並ぶ。
「一目惚れ(love at first sight)」を大切に国内外を問わず現代アート作品を選び抜いてきた、ご夫妻の優れた目利きのセンスは今も健在のようだ。多彩なアーティストの作品を一度に鑑賞することができる貴重な空間で、⼼豊かな時間を過ごしたい。