4月25日まで、青山にあるスパイラルガーデンで展覧会「OKETA COLLECTION:4G」が開催中。アートコレクター、桶田夫妻が集めた60年代から90年代⽣まれの4世代 (4Generations) のアーティストの作品を展示する。なぜ現代アートをコレクションするのか、その理由を会場で桶田夫妻に聞いた。
買って集めてアートを楽しむ
人呼んで、「一目惚れコレクター」。
桶田俊二・聖子夫妻のことである。ファッションビジネスの第一線に身を投じていた2010年、ドキュメンタリー番組で観た草間彌生の「創造への熱情」に心を打たれたのをきっかけに、現代アートのコレクションを開始。
ここ10年たゆまぬ蒐集(しゅうしゅう)活動を続け、個性的な一大コレクションを築き上げてきた。
その一端は現在、東京・青山のスパイラルガーデンで開催中の展覧会「OKETA COLLECTION:4G」で披露されている。
桶田聖子「ふたりとも凝り性なので、一挙にのめり込んでしまいました。気づけばここまで来ていたという感じで」
どんな作品をコレクションするかは、直観が頼り。アートフェアやギャラリー、オークションで見つけて「これは!」と一目惚れしたものに、迷わずアプローチすると言う。
桶田俊二「肌身を通してカッコいいな、素敵だなと感じた自分たちの気持ちに、素直に従うようにしています。アートには作品の歴史的意義や難しい理論づけも付いて回りますが、そういうのは専門家の方に任せればいいかなと」
では、現在進行形で「一目惚れ」しているアーティストは?
俊二「まさにこの展覧会に出品した作品群の作者たちですね。加藤泉や五木田智夫、平子雄一、ロッカクアヤコ、松山智一、KYNEにTIDE……」
聖子「特にいま日本では、ストリート系のアーティストがどんどん出てきていて、追いかけるのが楽しいですよ」
アートを観る人はぐっと増えたが、アートを買う領域に入っていく人といえば日本ではまだ少数派。お二人のように「買って集めてアートを楽しむ」ための第一歩は、どう踏み出したらいい?
聖子「たしかに最初は、ギャラリーやオークションに足を運ぶことすら、躊躇(ためら)ってしまいますものね。私たちもそうでした。草間彌生さんの古い作品を入手したくて、オークションの入札に初めて参加したときも、おっかなびっくりでなかなか手を挙げられなかった。でも、どうしても欲しい草間彌生さんの旧作をオークションで落札できたとき、それはそれは嬉しくて。すぐ慣れて、楽しくなっていくものでした」
俊二「以前していた骨董蒐集に比べて、コンテンポラリーアートは絶えず新作が出たり、アーティストが成長したりと動きがあるのもおもしろい。自分が『これぞ!』と見定めたアーティストや作品が世界的に注目されるようになれば、気分は上がります。いい意味で創作者のパトロンになっていけたらいい」
聖子「本業はリタイアした私たちですけど、今はアートのおかげで刺激も豊富、やることもいっぱいある生活を送れているのは何よりありがたい」
俊二「自分たちにとって価値があると同時に、アートの世界や社会全般においても意義を持つ、中身のしっかりあるコレクションを形成したい。そのためにはまだまだ見て聞いて、会って話して、知って感じていかないと。コレクターをやるって、なかなか忙しいものですよ(笑)」
展覧会場では最先端の現代アートを味わうと同時に、アーティストと同等の「熱」を持ったコレクターの魂も、ぜひ感じとってみたい。
OKETA COLLECTION:4G
会場:スパイラルガーデン(東京都港区南⻘⼭5-6-23 スパイラル1F)
会期:4月8日(木)ー 4月25日(日) <会期中無休>
開館時間:11:00-20:00
⼊場料:無料
出展アーティスト:ジャデ・ファドジュティミ、五⽊⽥智央、花井祐介、平⼦雄⼀、井⽥幸昌、加藤泉、KYNE、松⼭智⼀、バリー・マッギー、アドリアナ・オリバー、ロッカク アヤコ、TIDE、⼭⼝歴ほか
http://oketacollection.com/
Shunji & Asako Oketa
長年、ファッションビジネスに携わってきた二人が、2000年代より始めたOketa Collection。骨董の収集からスタートし、2010年、草間彌生の作品との出会いをきっかけに、コンテンポラリーアートの本格的なコレクションへと大きく踏み出した。国内外のトップ・アーティストからごく若い世代まで、幅広く、勢いのあるラインナップが特徴。2016年より毎年、コレクション展を開催。2020年10月には金沢21世紀美術館で「The World:From The OKETA COLLECTION」を開催した。