今、アートにハマるビジネスパーソンが増えている。アートを所有することは人生にどんな刺激を与えてくれるのか。アクセンチュア インタラクティブ最高戦略責任者/シリアルアントレプレナーである内永太洋氏に、アートを楽しむ極意を聞いた。

トレバー・アンドリューの作品はリビングに。同じタイプが2枚あり、もう1枚はグッチのクリエイティヴ・ディレクター、アレッサンドロ・ミケーレが所有しているそう!
アーティストとの繋がりがビジネスのモチベーションになる
ロッカクアヤコ、青木 豊、マリー・ラウジーなど若手アーティストの作品が自宅の壁を飾るのは、アクセンチュアインタラクティブCSOの内永太洋氏。以前は草間彌生や京都の古美術などを、資産運用という観点で購入することもあったというが、その意識を変えたのはアーティストに会い、制作意図など、彼ら自身の考えを直接聞くようになってからだという。

藤井フミヤの作品。「音楽以上に持つ絵への情熱を熱く語ってくれました」
「例えばMAGOというアーティストはゴミを再利用した作品を手がけていますが、そこには資本主義の社会が捨てたモノから生まれたアートが、僕らのような資本主義の中心にいるキャピタリストに買われていくというアンチテーゼや、SDGsへの高い意識が込められている。アーティストが何を考えて制作しているのか、その背景には何があるのか、物的な所有欲より知的欲求のほうが強くなりました」
その好奇心は、今一番気になるアーティスト、トレバー・アンドリューのLAのスタジオを訪ねるまでに。

初オークションで競り落としたロッカクアヤコの作品。
「ガレージのようなラフなスタジオでしたが、僕にとっては宝の山でしたね(笑)。2日間通い、本当は非売品だった1枚を譲ってもらったんです」
アーティストの内面に触れることはビジネスへの刺激にもなっているという。

“グッチ・ゴースト”のデザイナーでもあるトレバー・アンドリューと。バリュエンスホールディングスの嵜本(さきもと)晋輔社長とスタジオを訪問した。
「ビジネスでも不安な時はある。そんな時に必要なのは、どれだけ自分を信じて前に進めるか。アーティストが、自分自身を信じ創作し続けるとてつもないエネルギーは、自分にとってもモチベーションになります」
作品を介したアーティストとの出会いこそが、内永氏の飽くなき好奇心の源なのだ。

アートに触れて発想を広げてほしいという思いから、「アクセンチュア・イノベーション・ハブ 東京」には、内永氏も注目するアーティスト、大山エンリコイサムの作品がある。
Enrico Isamu Oyama, FFIGURATI
#202, 2018
Accenture Innovation Hub Tokyo,
Tokyo, Japan
Artwork © Enrico Isamu Oyama
Photo © Kei Okano
「“価格”が作品に価値を与えるのではなく、“作家”が作品に価値を与える。それが、僕にとってのアートの面白さだと思っています」
Takahiro Uchinaga
1980年静岡県生まれ。2011年、Isobar Japanを創業。’13年、電通イージスジャパン取締役を経て、’16年よりアクセンチュア インタラクティブに参画。