GOURMET

2023.02.15

ベンフィディック|「世界のベストバー50」常連! 各国からこの一杯を求めて集まる理由とは。

断言しよう。今、自分のレストランリストに入れておくべきはカウンターの店だ。なかでもクリエイティヴなカクテルを提供するバーは絶対に行きつけにしておきたい。通えば通うほどパワーチャージできる、唯一無二のカクテルバーから、今回は新宿の「BAR BENFIDDICH(バー ベンフィディック)」を紹介する。

新宿「バー ベンフィディック」のカウンター

特等席のカウンターは7席。カウンター上の照明には農園で採取したニガヨモギが飾られている。

自家農園の植物や果実を調合した唯一無二のカクテル

天井から吊り下がるフウセンカズラやニガヨモギの枝。壁に挟まる木の皮からは、謎のココナッツの香りが漂う。扉を開けた瞬間から唯一無二の世界観を見せてくれるのが『ベンフィディック』だ。その独自性が評価され、著名なバーの世界ランキング「Best Bars 50」の常連であり、オーナーの鹿山博康氏は「酒類業界に影響を与えた世界の100人」に選出されるなど、海外のバーファンからも注目を集める名バーだ。

その影響はバー業界にとどまらない。「世界ベストレストラン50」で世界一に輝いたデンマークのレストラン「noma」のシェフが来日時に連日訪れていたことからも、その味覚体験が特別なものだったことがわかる。

新宿「バー ベンフィディック」に飾られている鹿の剥製

「ベンフィディック」とはスコットランド地方のゲール語でベン=山、フィディック=鹿、と自身の名に由来。店内には鹿の剥製もある。

世界からのゲストが『ベンフィディック』での一杯を求めて集まる理由。それは鹿山氏自らが育てた植物や果実を調合して作る唯一無二のカクテルを味わいたいため。

自らを“ファーマー(農家)バーテンダー”と名乗る鹿山氏は、地元である埼玉県比企郡に畑を持つ。畑で育てるのは、ニガヨモギやジュニパーベリー、アニスやフェンネルなど、自生するものも含めて40種以上。“farm to glass(農場からグラスへ)”をコンセプトに、農園で採取した植物でカクテルを作る。畑の季節ごとの香りを表現したジンのカクテル「The Forest」は、店のシグネチャーカクテルのひとつだ。

新宿カクテル「バー ベンフィディック」の「香木メソイーココナッツ」

パプアニューギニア島にしかない香木を使ったカクテル「香木メソイーココナッツ」¥1,600。

新宿「バー ベンフィディック」のカクテル「フレッシュミント ジンフィズ」

インドネシアの蒸留酒、チゥを使った「フレッシュミント ジンフィズ」¥1,600。グラスは富山のガラス屋職人とともに作ったオリジナルのもの。

時に古書を読み解きながら、アブサンなどリキュールの調合も自ら行う。江戸時代に使われた薬研でスパイスを砕いたり、素焼きの壺でネグローニを熟成させたり、農場の土で作った土器でカクテルを出したりと、その様はカウンターというステージ上で奇術を披露するかのよう。

香木を炙る新宿「バー ベンフィディック」の鹿山氏

ハーブや香木はバーナーで炙って香りを引き出すことも。材料の風味を最大限に活かす。

そんな鹿山氏のもうひとつの顔はスピリッツハンターの一面。各国のバーからゲストバーテンダーとして招聘される鹿山氏は、この取材当日もインドネシアから帰国したばかり。現地で交渉し、入手したローカルのお酒やスパイスは、鹿山氏の手を通してモダンなカクテルとして供される。

「現地で美味しかったのに、日本に持ち帰ると美味しくないというものもあったりするんですよ。でも、美味しいかどうかでなくて、体験する価値とか、ロマンみたいなものがお酒にはありますよね」と鹿山氏。

カウンターは新しい世界の発見を共有したい店主とゲストで今日も溢れている。

アンティークのボトルやバーツールは鹿山氏の長年のコレクション。

バー ベンフィディック/BAR BENFIDDICH
住所:東京都新宿区西新宿1-13-7 大和家ビル9F
TEL:03-6258-0309
営業時間:月〜土曜18:00〜翌1:00
定休日:日曜、祝日
座席数:14席
料金:カクテル ¥1,600〜、チャージ料なし、サービス料10%

TEXT=児島麻理子

PHOTOGRAPH=角戸菜摘

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2025年1月号

シャンパーニュの魔力

最新号を見る

定期購読はこちら

バックナンバー一覧

MAGAZINE 最新号

2025年1月号

シャンパーニュの魔力

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ1月号』が2024年11月25日に発売となる。今回の特集は“シャンパーニュの魔力”。日本とシャンパーニュの親和性の高さの理由に迫る。表紙は三代目 J SOUL BROTHERS。メンバー同士がお互いを撮り下ろした、貴重なビジュアルカットは必見だ。

最新号を購入する

電子版も発売中!

バックナンバー一覧

SALON MEMBER ゲーテサロン

会員登録をすると、エクスクルーシブなイベントの数々や、スペシャルなプレゼント情報へアクセスが可能に。会員の皆様に、非日常な体験ができる機会をご提供します。

SALON MEMBERになる