都会の摩天楼もいいが、古都らしい雅な景色もいい。京都でしか味わえない、風雅な夕景を前にグラスを傾ける至福の時間。バー「琥珀」を紹介する。【特集 京都の秘められしスポット】
ホテルに宿泊すれば出合えるドラマチックな京風景
「本当は教えたくない」と常連客ならば言うかもしれない。特別感のあるこのカウンターに座ると、この絶景を独り占めしたくなるのだ。ここは高台寺からすぐの東山。まれに見るドラマチックな景色と美酒に出合えるバー、パーク ハイアット 京都の「琥珀」である。
暮れゆく京都の町並みを目前にできる時間帯はもちろん、八坂の塔や京都タワーがライトアップされる夜の景色も美しい。
カウンターに立つのは、街場の名店で勤めた後、この店のヘッドバーテンダーに抜擢された中村晃子さん。やわらかな雰囲気で客を迎えるが、数々のカクテルコンペティションで入賞を果たす強者である。
シグネチャーカクテルの「守破離(しゅはり)」もそうだが、彼女が得意とするカクテルには、抹茶や煎茶といったお茶、日本酒といった和の材料のほか、グラスなどにも京の要素を取り入れている。それは、彼女がカクテルをつくる際に柱にしていることがあるからだという。
「歴史、芸術、食材、文化といった4つの京都を大切に、お客様がカクテルを目にしてから飲まれるまでのストーリーを組み立てています」
例えばジントニックには、このバー限定の京都のクラフトジン「季の美 青龍」を用い、檜の香りと竹笹を添える。蓋つきの錫(すず)のタンブラーは、茶道具なども手がける京都の金属工芸作家、16代金谷五良三郎さんに注文したもの。蓋を開けたとたんに檜が香りたち、清々しい緑が目に飛びこんでくる。目の前の贅沢な京風景とも連動して、京に居ることをしみじみと実感させてくれるのだ。
他にも、ラムに小豆を漬けこんで風味を移し、マスカルポーネチーズやミルクと合わせた「京都トラディション Ⅲ」など、考え抜かれたカクテルは多い。
深い味わいとやわらかな口当たり。思わずグッと飲み干したくなるが、そこは堪こ らえて。簡単にはお目にかかれない夕景もじっくり愛でながら、大切な時間を過ごしたい。
琥珀(Kohaku)
住所:京都府京都市東山区高台寺桝屋町360 パーク ハイアット 京都 4F
TEL:075-531-1234(代)
営業時間:16:00~24:00
※入店は宿泊客優先