ここ2年程の間に次々と京都にオープンしたテイクアウト店。手軽な上に本格的な味わいのテイクアウトフードやドリンクは、家ご飯だけでなく、キャンプやピクニックなどアウトドアで楽しむ食事の豊かさを教えてくれた。
今回は、2021年に開業して既に話題の2店を紹介する。
気持ちいい季節に京都を訪れ、美味しい珈琲やお弁当を買って町歩きを楽しみたい。
かつてなかった斬新なフレーバーも。
お土産にもいい、薫るクラフト珈琲
シングルオリジンなど、産地や焙煎加減、ドリップ法なども細分化され専門的になった珈琲。珈琲を気分や体調、シーンなどにも合わせて楽しみたいという人も増えている。そんななか、「薫豆堂」では、より自由度の高い珈琲をと、京都のクリエイターチームを終結してクラフト珈琲づくりを手掛けた。2021年10月には、フラッグシップショップを東山七条、フォーシーズンズホテル近くにオープン。その斬新な味わいで注目を集めている。
「旅する珈琲」と名付けられたオリジナル珈琲のラインナップは、京都府南山城村産のほうじ茶をはじめ、徳島県木頭産の柚子、和歌山県産ぶどう山椒、静岡県浜松産ホーリーバジルアロマなど、国内のみならず世界中から厳選した材料を珈琲に組み合わせる。
なかでも、その高貴な香りに驚くのが、オーストラリア産の白檀フレーバー。「珈琲を飲んでこんなにも、心が調うのか」と思わせられるようなふくよかな味わい。
今後展開される京都府与謝野町産のホップアロマも、芳しく力強い香りを味を楽しめるという。
店主の田村憲一さんは「作物づくりや加工、珈琲の焙煎、抽出までそれぞれのプロフェッショナルとともにつくりあげました。珈琲もひとつの原料と捉え、香りをはじめ、熟成や組み合わせや新たな加工を実現し、コーヒーイノベーションを起こしたい」と話す。
ショップでは、注文してからドリップしてくれる、「オリジナルフレーバー珈琲」(5種各¥540~)を味わえるほか、「オリジナルジェラート」(¥540~)も。
爽やか香りの「ホーリーバジルアロマ」をテイクアウトして、若葉が美しい三十三間堂や国立文化博物館まで、ぶらりと散策するのはどうだろう。
CRAFT COFFEE & GELATO KUNZUDO
住所:京都市東山区妙法院前側町491-1-2
営業時間:10:00~16:00
定休日:火、木、日曜
お出汁の専門店「うね乃」が開業した新店。
京都のお惣菜に加え、人気ビストロの味も。
京都人にとってお出汁は特別なものだ。京料理だけでなく、町の食堂やうどん店でも、利尻の昆布や上質な鰹節を使って出汁をとる。そこには、料理は出汁の味が要になるという想いがあるからだ。
出汁を大切にする京都人が愛してやまないのが、創業明治36年の老舗「おだしのうね乃」。ここで販売するだしは全て無添加。
お湯に入れて煮出すだけで極上のだしをとれる「おだしのパックじん」は、カツオと昆布の定番出汁のほか、マグロ節の上品な出汁、野菜出汁、煮物などに合う濃厚な出汁の4種あり、重宝する。
そんな出汁の専門店が、2021年12月に美味しいお出汁でつくる惣菜やお弁当の店「アロウネノ」を五条通に開業した。ブランドショップかと思うガラス張りの店内には、筑前煮や胡麻豆腐、コロッケといった毎日でも食べたいお惣菜やお弁当など、多彩な商品が並ぶ。
一番人気のうね乃弁当(¥1,296)は、大きな出汁巻が目を引く。海苔の下には、から揚げ、きんぴらごぼう、おひたし、鯖そぼろが入って充実。どこか懐かしさもあるスタイルに魅せられる。
ほかにもたっぷりの野菜とだし、鶏肉などがセットになったお鍋セットもあって、今日は家族でご馳走をというときにぴったりだ。
「こんな時期だからこそ、妥協せず素材を選び、無添加のお惣菜やお弁当をと思いました。安心してみなさんに召し上がっていただきたい。家族が笑顔になれる時間を少しでも増やすことができれば」と店主の采野佳子さんは話す。
2022年には、人気のビストロ「ビストロ・ボンモルソー」のグラタンやシチューもラインナップに加わった。また今後は、お出汁をベースにしたグラタンや唐揚げ、ローストビーフなども発送できるように。
店内では、鰹節や京だし、ポン酢など「おだしのうね乃」の商品も販売され、お惣菜と一緒に購入できてありがたい。
また中央に設けられたイートインスペースでは、購入したお弁当やキャロットラペなどお惣菜とともに、量り売りワイン(6種類ほど、¥550~)やビール、お茶も味わえ、ランチタイムはもちろん、ちょっと小腹が空いた時間帯などにも利用できる。
京都人が大切にしてきた本格派のお出汁でつくる料理の数々をぜひ味わってほしい。
アロウネノ
住所:京都市下京区本塩竈町557
TEL:075-354-1600
営業時間:11:00~20:00(売り切れ次第終了)
定休日:不定