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2024.09.12

“本当の病人”になる危険性も…適応障害に「うつ病」の治療薬が逆効果な理由

会社に行きたくない、不安やイライラが増えた、自信がなくなった……。そんなあなたの心のトラブル、もしかしたら「うつ」ではなく「適応障害」かもしれません。いま急増している適応障害の特徴とすぐに実践できる対処法について、『ストレスと適応障害』から一部を抜粋してお届けします。

「うつ状態」=「うつ病」とは限らない

昨今は、うつ病についての認識が広まり、うつだと感じると、気軽に心療内科や精神科を受診する人が増えた。症状が重症化するまえに手を打つという点ではよいことだと思うが、困るのは、適応障害で起きているうつ状態を、うつ病と同じように治療してしまうケースが少なくないことだ。

実際、「うつ」として医療機関を受診するケースでは、かなりの割合が適応障害である。クリニックのレベルだと、受診するケースの9割が、適応障害で占められるというところもある。

脳のレベルで異常が起きるまでには至っていないわけで、ある意味、合わない環境に対して、ごく自然な反応が起きているともいえる。

それを、「うつ病」と診断し、抗うつ薬を投与されたり、ときには、「双極性障害(躁うつ病)」と診断され、気分安定薬抗精神病薬を投与されるというケースも珍しくない。

それで、どうなるかといえば、ますます体がだるくなり、意欲も気分も沈み、まったく仕事や学校どころではなくなってしまう。本当の病人になってしまうのだ。

抗うつ薬は、セロトニンなどの伝達物質を増やす働きがあるが、脳のレベルでは正常な状態の人にそうした薬物を投与すると、鎮静がかかりすぎて、だるさや意欲低下が強まってしまう。

気分安定薬や抗精神病薬になると、その影響はもっと強く、認知機能が低下する場合もある。そうなると、ボーッとして、何も手につかなくなってしまう。

適応障害に必要なのは薬ではなく…

本当に必要なのは、まずは少し休息するとともに、合わない環境を本人が適応しやすいものに変えるか、本人が適応しやすいように変わるか、なのである。

だが、医療機関さえも、本当に必要な手立てを講じてくれるとは限らない。医者の習性として、どうしても「病気」として治療しようとしてしまうのだ。

ここで知っておいてほしいことは、適応障害はうつに似た状態を呈するが、うつ病ではないということである。

昨今、「新型うつ病」という新しいタイプのうつ病が、巷でも話題になることがある。新型うつ病の特徴としてよくいわれるのは、職場では調子が悪く、やる気がまったく出ないのだが、家に帰ると比較的元気で、自分の趣味のことなどには熱中して取り組めたりすることである。

このことは、新型うつ病が適応障害をベースにして生じていることを示している。

このタイプのうつは、「逃避型うつ」とも呼ばれるが、その実体は大部分が適応障害なのである。休職すると元気になるが、また復帰が近づいてくると、症状がぶり返すということになりやすい。

症状の治療をするだけでは、根本的な改善にはならないのである。

この記事は幻冬舎plusからの転載です。
連載:ストレスと適応障害
岡田尊司

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