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2024.02.28

ヴィンテージロレックスの頂点“ポール・ニューマン モデル”、変動する評価ポイントの今

連載「オークションから読む高級時計の行方」の第18回はロレックス「コスモグラフ デイトナ」“ポール・ニューマン ダイヤル”を取り上げる。

「コスモグラフ デイトナ」ティファニーモデル 斜めのカット
©️PHILLIPS

変動し続ける“ポール・ニューマン モデル”の評価基準とは?

誰もが認めるオークション界隈の主役、ロレックス「コスモグラフ デイトナ」“ポール・ニューマン モデル”。

天井知らずの値上がりという印象が強いが、どうやら実情は異なるようで、評価はあくまで個体次第。「“ポール・ニューマン モデル”であれば何でも売れる」ということはあり得ない話なのだ。

ここ最近では希少性の高さ以上に、オリジナリティやコンディションを重視する傾向が強まっている。それに伴って評価基準は以前よりも厳しくなっており、オークションでの落札予想額を上回るケースは前よりも減ってきているという。

以下、2023年に開催したフィリップスの時計オークションに出品された4つの事例から、“ポール・ニューマン ダイヤル”のトレンドの一端に触れたい。

異なる魅力と価値を持つ4本の“ポール・ニューマン モデル”

“ポール・ニューマン モデル”専用のダイヤルを備えた「コスモグラフ デイトナ」のバリエーションはかなり複雑で、よほどの識者でなければパーツの整合性を完全に把握することは難しい。

その中でも比較的分かりやすいのが、レモンカラーのダイヤルと18Kイエローゴールドケースを組み合わせた「コスモグラフ デイトナ Ref.6264」。

一般的に見られる“ポール・ニューマン モデル”のシャンパンカラーのダイヤルと比べると、よりクリーミーなイエローの色合いが特徴。インダイヤルがホワイトレターで記され、それが輪切りのレモンの種のように見えることから“レモン”のペットネームがついている。

希少性がかなり高いことから、オークションに出品されると必ずといっていいほど話題に上がるモデルだ。

半世紀にわたって美しく経年変化し、アメリカの重要なコレクターから委託された「Ref. 6264」は、世界中のロレックスのコレクターにとって憧れの頂点とも呼べる逸品。フィリップスが2023年の12月にニューヨークで開催した時計オークションにて、96万5200USドル(日本円で約1億3920万円)で落札。

2023年の12月に開催した時計オークションに出品された「Ref.6241」の“ポール・ニューマン モデル”のダイヤルは、ティファニーのプリント入りのダブルネーム仕様。ダイヤルはいわゆる“パンダダイヤル”と呼ばれる配色で、さらに6時位置に赤でプリントされた「DAYTONA」の文字と赤い外側の秒目盛りがアクセントになっている。

ヴィンテージロレックス全般にいえることだが、ダブルネームのダイヤルは人気がある一方、簡単に偽造ができてしまうので必ず真贋(しんがん)が問われる。この「Ref.6241」は、その点もクリアし高い評価を得たモデルで、落札額は予想を上回る67万3100USドル(日本円で約9710万円)を記録した。

基本的な話になるが、「コスモグラフ デイトナ」の手巻きモデルを大別すると、非防水のポンプ型クロノグラフプッシャーのモデルと、防水仕様のねじ込み式クロノグラフプッシャーのモデルに分かれる。前者よりも後者の方が需要が高く、価格はより高額になる。

「コスモグラフ デイトナ  Ref. 6265」は 1969年頃に市場に導入され、1980年代後半に生産が終了した。 このモデルはねじ込み式クロノグラフプッシャーを備えているため、ダイヤルには防水仕様であること示す「OYSTER」の文字が入っている。

フィリップスが2023年の11月に開催した時計オークションに出品されたパンダダイヤル仕様の「Ref. 6265」の“ポール・ニューマン モデル”は、歴史的な価値と保存状態のよさから381万0000香港ドル(日本円で約7480万円)で落札された。

1963年に発表された「コスモグラフ デイトナ  Ref.6239」は、デイトナのファーストモデルであり、ベゼルにタキメーター スケールが刻印されたロレックス初のクロノグラフ。ケース素材は3種類で、ステンレススチール、14Kイエローゴールド、 18Kイエローゴールドが揃う。

このモデルは発表当時「ル・マン」という名で呼ばれたが、 最終的にはデイトナ24時間レースにちなんで「デイトナ」と名づけられた。

近年、オークション市場に登場した最も印象的な“ポール・ニューマン モデル”の ひとつであるブラックダイヤルの「Ref.6239」は、2023年11月にスイス・ジュネーブで開催した時計オークションに出品された。

この 「Ref. 6239」の魅力は、ほぼ新品同様の状態で保存されていたこと。 外側のアイボリーのトラックは傷がなく、インデックスのドット型の夜光は無傷で、針の夜光塗料と一致。ダイヤルのグラフィックは鮮やかな状態を維持しており、 ケースは驚くほどシャープだ。落札額は27万9400スイスフラン(日本円で約4670万円)だった。

取り上げた4本はどれも高額の落札になったが、実はこのうちの3本は予想落札額を下回る結果に。これを見る限り、専門家やコレクターが考える評価基準は以前よりもシビアになっている。その一方、これらの時計を上回る希少性や保存状態の個体が出てくれば、驚くような落札額になることは確実だろう。

オークション及びヴィンテージロレックスの動向を読むうえでも、その頂点に君臨する“ポール・ニューマン モデル”はやはり見逃せない。

■連載「オークションから読む高級時計の行方」...
新興の富裕層を巻き込み、かつてない白熱した落札が繰り広げられる時計オークション。本連載では、ジャンルは一切問わず、高級時計のトレンドを占う注目の時計をフォーカスする。

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オークションから読む高級時計の行方

インターネットやSNSの普及からあらゆる時代の時計が簡単に入手できるようになった。そうはいったところで、パーツの整合性や真贋の問題が問われるヴィンテージウォッチの品定めは一筋縄ではいかない。本連載では、ヴィンテージの魅力を再考しながら、さまざまな角度から評価すべきポイントを解説していく。

TEXT=戸叶庸之

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