連載「オークションから読む高級時計の行方」の第13回は、ビバー「チタン カリヨン ミニッツ リピーター トゥールビヨン」を取り上げる。
異例ずくめとなったジャン-クロード・ビバー初のシグネチャーブランド
ブランパン、オメガ、ウブロなどの数々のブランドを成功へと導いたマーケティングの天才、ジャン-クロード・ビバー。「ウォッチズ & ワンダーズ 2023」の開催前日、自身の名を関した初のブランドを息子であるピエール・ビバーとともに発表し、センセーショナルな話題を巻き起こした。
イベント会場で披露されたコレクションのひとつ、ビバー「チタン カリヨン ミニッツ リピーター トゥールビヨン」のプロトタイプは、5月14~15日に開催予定のフィリップスの時計オークションに出品されるというアナウンスがあった。
革新的なウォッチメイキングを好み、熱狂的な時計コレクターでもあるジャン-クロード・ビバー親子が満を持して発表したタイムピースは、直径42mmのチタンケースに3つのハンマーを持つミニッツリピーターとトゥールビヨンを搭載。ムーブメントの全面は手作業で仕上げと装飾が施されており、シルバーの黒曜石によるドーム型の美しい文字盤は、6時位置に設けた開口部からトゥールビヨン脱進機を眺めることができる。
プロトタイプであると同時にユニークピースであることも相まって、オークションは白熱し、127万スイスフラン(日本円で約1億9240万円)という超高額で販売されるという異例ずくめの結果となった。
これを見る限り、ジャン-クロード・ビバーのシグネチャーブランドの門出は幸先がいいスタートを切れたに違いない。今後の高級時計のトレンドを占う意味でも彼らの一挙一動は見逃せないだろう。
■連載「オークションから読む高級時計の行方」...
新興の富裕層を巻き込み、かつてない白熱した落札が繰り広げられる時計オークション。本連載では、ジャンルは一切問わず、高級時計のトレンドを占う注目の時計をフォーカスする。