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2022.08.18

オークションの世界を賑わす、ロレックスの希少な宝石入りモデルとは

連載「オークションから読む高級時計の行方」の第8回は、ロレックスの宝石入りモデルを取り上げる。

連載「オークションから読む高級時計の行方」

©️PHILLIPS

世界中の富裕層に愛されるロレックスのジェムセッティング

新型コロナウィルスの感染拡大は、高級時計の市場に多大な影響をもたらし、そこから新たなトレンドが生まれている。時計オークションの世界も例外でない。ロレックスを例に挙げると、この数年、ヴィンテージウォッチの人気がやや落ち着いた一方で、「デイデイト」や「コスモグラフ デイトナ」などの宝石入りモデルの注目度が高まっている。一部の実例とともに、その傾向について述べよう。

そもそもの話になるが、懐中時計から始まり小径化された機械式時計は王侯貴族ために作られた宝飾品としてのルーツがあり、ステンレススチール製の腕時計が普及する前はゴールド製のケースが主流であった。今日では防水腕時計のパイオニアとして知られるロレックスの歴代モデルを見渡すと、富裕層のために手掛けた装飾的なデザインが数多く見受けられる。

このような文脈を受け継ぐ技法のひとつがジェムセッティングであり、ロレックスはこの分野においても独自の路線を切り拓いた歴史を持っている。メンズウォッチに関しては、プレステージモデルに位置付けられる「デイデイト」を中心にさまざまな宝石入りモデルを確認することができる。ちなみに、「デイデイト」は中東の王族の間で絶大な人気を集めていた背景があり、特注モデルなどが展開されていたことから把握しきれないほどのバリエーションが存在する。

オークションの話に戻すと、ロレックスの圧倒的な人気を支えているプロフェッショナルモデルに対して、これまで「デイデイト」は一部のマニアの間で支持されていたのだが、金の価格高騰、ラグジュアリースポーツウォッチブームの到来などのいくつかの要因から状況が変化した。ここ最近では、1億円前後で落札された個体もあり、これからさらに勢いを増していく可能性が大いにある。

デイデイト Ref.18058(1987年製造)

デイデイト Ref.18058(1987年製造)
2021年11月5日、7日に開催されたジュネーブの時計オークションにて、79万2300スイスフラン(日本円で約約9950万円)で落札。©️PHILLIPS

デイデイト Ref.18238(1997年製造)

デイデイト Ref.18238(1997年製造)
2022年5月、フィリップス・香港の時計オークションにて、65万5200香港ドル(日本円で約約1080万円)で落札。©️PHILLIPS

これと同じように「コスモグラフ デイトナ」の宝石入りモデルも、この数年で急速に需要が高まっている。宝石入りモデルは手巻きの時代から展開があり、これらは究極のコレクターズピースと呼ぶに値する希少性がある。自動巻きについては、バゲットカットの貴石がベゼルにセッティングされているモデルの人気が上昇している。ブームの火付け役として、2018年に発表された通称“レインボー”と呼ばれる「Ref.116598RBOW」と「Ref.116599RBOW」は見逃せない。

コスモグラフ デイトナ Ref.16589SACI(1997年製造)

コスモグラフ デイトナ Ref.16589SACI(1997年製造)
2021年11月、フィリップ・香港主催の時計オークションにて、201万6000香港ドル(日本円で約3060万円)で落札。©️PHILLIPS

コスモグラフ デイトナ 116595RBOW(2018年製造)

コスモグラフ デイトナ 116595RBOW(2018年製造)
2022年6月、フィリップ・ニューヨーク主催の時計オークションにて、69万3000ドル(日本円で約9370万円)で落札。©️PHILLIPS

これらの宝石入りモデルに共通する魅力とは、群を抜く希少性に加え、ロレックスならではの堅牢な設計により、日常で着用できる優れた実用性にある。成功者のために生まれたラグジュアリーピースの数々は、オークションの世界を賑わす存在として今後も熱い視線が注がれるはずだ。

 

■連載「オークションから読む高級時計の行方」...
新興の富裕層を巻き込み、かつてない白熱した落札が繰り広げられる時計オークション。本連載では、ジャンルは一切問わず、高級時計のトレンドを占う注目の時計をフォーカスする。

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オークションから読む高級時計の行方

インターネットやSNSの普及からあらゆる時代の時計が簡単に入手できるようになった。そうはいったところで、パーツの整合性や真贋の問題が問われるヴィンテージウォッチの品定めは一筋縄ではいかない。本連載では、ヴィンテージの魅力を再考しながら、さまざまな角度から評価すべきポイントを解説していく。

TEXT=戸叶庸之

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