2022年も高級ウォッチブランドから続々と届く新作情報。その中から、新鮮な驚きや価格以上の満足感が味わえる”活きのいい”モデルを厳選! 連載第110回は、「グランドセイコー Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン」を取り上げる。【連載 意欲的新作ウォッチはこちら】
世界初のトゥールビヨン機構を搭載したグランドセイコーの新境地
昨年、スイスのジュネーブで開催された「ジュネーブ時計グランプリ」にて、2014年の「プティット・エギュィーユ部門賞」に続き、「メンズウオッチ部門賞」を受賞するなど国際的な評価が高まりつつあるグランドセイコー。
ブランド初のコンプリケーションウォッチとなる「グランドセイコー Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン」は、先頃開催された「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2022」で発表されたグランドセイコーの新作の中でも異彩を放つ1本だ。ちなみに本作はセイコーの創業地である銀座に新設された工房「アトリエ銀座」が手掛けている。
「グランドセイコー Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン」の最大の見所は、2020年に発表されたコンセプトムーブメント「T0 コンスタントフォース・トゥールビヨン」を全面的に見直すことで製品化した「キャリバー 9ST1」にある。このムーブメントは、コンスタントフォースとトゥールビヨンを同軸で一体化させた世界初の機構であり、優れた精度安定性の実現と美しい16ビートの音色を奏でる。奥行きが感じられる立体的な構造や熟練の彫金師による美しい仕上げも特筆すべき点である。
複雑な構造のムーブメントを搭載するスケルトンウォッチでありながら、グランドセイコーらしい実用性は損なわれていない。このモデルのために開発した6面カットによる時針と、秒針の役割を果たすコンスタントフォースキャリッジアームの1本に埋められたルビーは、確かな視認性を確保している。10気圧の防水性も然りである。
一方、外装のパーツもムーブメントに引けを取らないこだわりが詰まっている。ケースはプラチナ950とグランドセイコーが独自に開発したブリリアントハードチタンを組み合わせたもので、ザラツ研磨に基づいた2つの異なる仕上げによって独創的なフォルムを際立たせている。
凹凸感のあるストラップは、丹念に漆を何度も塗布することで光沢が生まれる「姫路 黒桟革」を使用。かつて武将の甲冑に用いられた伝統素材は審美性と耐久性を誇る。付け替え用として両面にクロコダイルを用いたストラップが付属する。
プロジェクトの発足から10年の歳月を経て完成に辿り着いたコンプリケーションの導入によって、自らの殻を打ち破ることでネクストステージへと到達したグランドセイコー。これからの展開を大いに期待したい。
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