男性にとって数少ないアクセサリーでもある腕時計。だからこそ、時計選びには個性とともに語れる“ストーリー”も腕元に纏(まと)いたい!
米国海軍飛行隊の雄姿を纏うセラミック・クロノグラフ
パイロット・ウォッチが腕時計の歴史に登場したのは、航空時代の幕開けとなった20世紀初頭。往年の傑作を見ると、信頼性を確保する高精度の計測機器として設計されたデザインには、機能美はもちろんのこと、時代を超越した普遍性を備えていることがよくわかる。
IWCは80年以上もの間、パイロット・ウォッチに多くの情熱を注いだことで、歴史に名を刻んだブランドである。伝説の系譜は、1936年に民間企業用に製作された「スペシャル・パイロット・ウォッチ」から始まった。摂氏±40℃の範囲で問題なく動作する優れた耐久性を筆頭に、耐磁性を備えたムーブメント、飛散防止ガラスを用いた風防などの特徴的な技術には、先見性が見られる。
同社が手がけた最も有名なパイロット・ウォッチとして挙がるのが、’48年に誕生した「マーク11」だ。強力な電磁場を発生させるレーダー装置に対して、軟鉄製のインナーケースを搭載することで解決に導いたこのモデルは、軍用時計のベンチマークとして今もなお愛されている。
IWCはパイロット・ウォッチの分野で長年培ってきた時計製造のノウハウや文化を継承し続けている。アメリカ海軍及び海兵隊が使用するパイロット・ウォッチの開発ライセンスを供与されている、スイスで唯一の時計メーカーであることからもその実力がうかがえるだろう。これまで多くの飛行隊と協力し、現役隊員と元隊員だけが購入可能なスペシャルエディションを製作してきた実績も興味深い。
この夏に発売された「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ・トップガン“ロイヤル・メイセス”」は、2007年に始動したトップガンシリーズの最新作。「ロイヤル・メイセス」の愛称で知られるアメリカ海兵隊の第27戦闘攻撃飛行隊の隊員と共同開発した軍用エディションを元に製作された1本だ。堅牢かつ耐摩耗性に優れた素材を用いており、ジェット機内でパイロットが受ける極度の負荷に耐えられるように設計されたもので、“超本格派の航空計器”と呼ぶに値する卓越したスペックを有している。
言うに及ばず、軍隊に所属するエリートパイロットの意見をフィードバックすることで生まれたパイロット・ウォッチの活躍の場は、コクピットばかりではない。幅広いシーンで着用できる最高のスポーツウォッチとして、我々のライフスタイルに寄り添ってくれるのだ。