新型コロナウイルスにより、新作発表会が中止や延期を余儀なくされたウォッチシーン。一体新作はどうなるのか!? しかし心配ご無用。主要ブランドからは、新作情報が続々と届いている。そんな中から、新鮮な驚きや価格以上の満足感が味わえる“活きのいい”モデルを厳選! 連載第29回は、リシャール・ミル「RM 27-04 トゥールビヨン ラファエル・ナダル」を紹介する。
耐久性の限界へと挑戦した「RM 027」シリーズの最新作
これまでリシャール・ミルが果敢に行ってきたコラボレーションの中でも、ラファエル・ナダルとの10年にも及ぶパートナーシップは、通算で8本の時計を発表するという極めて異例なケースを見せている。
「激しいテニスのラリーにも負けないトゥールビヨンを制作すること」。このコンセプトを完璧に満たす、驚異的な耐久性、身体の一部のように感じられる装着感、前人未到の軽量設計を備えた「RM 027 トゥールビヨン ラファエル・ナダル」は、気が遠くなるテストの末、2010年に完成へと至った。
リシャール・ミルの時計製造への情熱を体現したかつてないトゥールビヨン搭載モデルは、ナダル本人から「第二の肌」と言わしめるほどの称賛と信頼を勝ち取り、ブランドを代表するモデルのひとつとして富裕層や時計愛好家の間で不動の人気を獲得している。
ラファエル・ナダルとのパートナーシップ10周年を記念する「RM 027-04 トゥールビヨン ラファエル・ナダル」は、12,000g以上もの加速に耐えられる設計を実現し、リシャール・ミルにおける耐久性の新記録を樹立した。ストラップを含めて30gという軽量設計も健在である。
まだ見ぬ領域へと踏み出すために、リシャール・ミルはこのモデルの開発にあたって、いくつかの特別なアプローチに取り組んでいる。具体的な例を挙げていこう。
ケースの部品に用いたリシャール・ミル独自の素材TitaCarb®は、自動車産業などでも広く利用されており、370MPa(3700kg/cm2)という驚異的な引張強度を持つ。他分野でもすでの実証済みの耐久性、剛性、熱膨張係数の低さ、温度・湿度 などの優れた耐性は、不可能を可能にするほどのポテンシャルを秘めている。
わずか3.4gまで抑えた手巻きトゥールビヨンムーブメントは、"ケーブルサスペンション機構"によって支えられている。テニスラケットのガット張りから着想を得て、スチール製のケーブルを5時位置のテンショナーに固定することでメッシュの編み込みを開始。縦糸を張り終えてから、横糸を上下交互に通し、穴付きのチタン製インナーベゼルに38回通してから10時位置のテンショナーに固定。これにより過剰な摩擦と摩耗を防ぐことができる。
地板とブリッジの素材は、ブラックPVD処理を施したグレード5チタンを採用。生体適合性と耐腐食性に優れた極めて硬い合金ゆえ、輪列がスムーズに作動させるために適している。つまり、ムーブメントと同様、精度を保つための要となっている。
限界への挑戦。これはラファエル・ナダルの偉業にも通じる。グランドスラムでの20勝目、フレンチオープン13回目の優勝、そして999度の勝利は言うまでもなく彼のキャリアを不動のものにしているが、不断の努力なくしては辿り着けない境地であることは火を見るよりも明らかだ。
ノバク・ジョコビッチを相手にこの記念すべき勝利を手にしたナダルが腕に「RM 27-04 トゥールビヨン ラファエル・ナダル」を着用していた事実からも、両者が築き上げてきた揺るぎない絆が見て取れる。
問い合わせ
リシャールミルジャパン TEL:03-5511-1555