橘ケンチがプロデュースの店とは?【LDH kitchen IZAKAYA AOBADAI】

LDHグループで飲食事業を展開するLDH kitchen。羽田空港内のライブレストラン「LDH kitchen THE TOKYO HANEDA」や、現在最も予約が取りにくい店といわれる人気鮨店「鮨つぼみ」などを手がけている。そんなLDH kitchenが、今年9月、桜並木が続く目黒川沿いに「LDH kitchen IZAKAYA AOBADAI」をオープン。LDH kitchen代表の鈴木裕之氏、店舗をプロデュースした橘ケンチ氏に話を聞いた。


橘ケンチ「人が交わる"角打ち"を目指す」

第一に、「日本酒の魅力を発信する店にしたい」という思いがありました。でも、ただ単に日本酒を種類豊富に揃えている店にはしたくない。僕がプロデュースさせていただくのであれば、繋がりがあって思い入れが深い酒蔵のお酒を用意したいと思い、LDH kitchen IZAKAYA AOBADAIでは僕が交流を重ねた酒蔵のもののみ、30銘柄、40〜50種類を出すことに決めました。

お酒の好みは人それぞれですから、産地や味わいはバランスよく、幅広く揃えようと。でも、どうしても好みは出てしまいますね。僕の好きな酸味が強めのお酒がやや多くなってしまいました(笑)。

お客様には自分の好みを探るために、多くの種類のお酒を楽しんでもらいたい。そこで、試飲サイズを用意しました。30mlで250円。料理に合わせてお酒を変えることも、気軽にできるんです。

店舗の設計や内装は、「角打ち」をキーワードに据えました。角打ちとは、買ったお酒を酒屋の軒先で立ち飲みすること。最近は、カジュアルな立ち飲みを表す言葉としても定着しています。このスタイルをベースに、店舗をレイアウトしました。

店に入ってまず広がるのは、角打ちスペース。小さなテーブルが並び、お客様はここでお酒を立ち飲みします。時代劇や古いドラマに出てくる酒場のイメージ。それと同時に、僕の頭には海外のクラブのバーカウンターやパブの風景も浮かびました。お酒を立ち飲みしながら、隣のテーブルのお客様とも気軽に会話を交わす。角打ちスペースが、垣根を超えた交流の場になればうれしいですね。

じっくりと腰を据えて酒を飲みたいというお客様は、座敷エリアにお通しします。店の奥には個室もあるので、プライベートなパーティにも対応できます。

料理は、「そば屋の酒肴」が基本コンセプト。日本酒を飲みながら料理を何品かつまみ、最後は手打ちそばで締めくくる。江戸時代から日本人に愛され続けている「そばと日本酒の組み合わせ」をベースにしつつ、AOBADAI流にアレンジしました。

僕のおすすめの料理? たくさんあり過ぎて、選ぶのに困るなあ……。僕だったらという前提での話ですが、まずは軽く「そば餃子」をつまみます。自家製の皮にはそば粉が入っていて、香ばしさがたまらない。あえて残されたそばの粒の食感もクセになります。

その後は、「おでん」もいいし、「〆アジのちょいと巻き」などの巻き寿司をつまむのもいい。最後はもちろん、そば。メニューのそばはすべて店内で手打ちしており、ガラス張りになったそば打ち場では、職人が太打ちと細打ちの2種類のそばを打つ様子が眺められます。外国人のお客様が、よく動画を撮っています。

そばでは、「肉麻辣そば」がおすすめです。豚バラ肉、ネギ、もやし、昆布などの具材と、山椒と唐辛子の辛味が最高の相性。食べ終わった後には残ったスープに豆乳を注いでデザート感覚で味わうという新提案も行っています。

肉麻辣そば(1000円)

もうひとつ、AOBADAIではおもしろい会計システムを導入しました。来店の際に、目黒川や富士山が描かれた浮世絵風の札を1枚250円で購入し、現金の代わりに使用。メニューブックには札の枚数が書かれているので、料理や飲み物と引き換えに、スタッフに札を渡します。お客様とスタッフのやり取りが楽しくなり、会話が生まれるように考案させて頂きました。お客様から「楽しい」との声をいただき、ほっとしています。

若い女性から年配の紳士、外国人まで、幅広い層の方に来店いただき、うれしく思っています。でも、まだまだAOBADAIは進化していけるはず。閉店後はスタッフとともにミーティングを重ねています。さらなる上を目指して、店をブラッシュアップしていきたいですね。


鈴木裕之「プロデューサーの熱い思いが、ここにあります」

新しい店舗は、HIROさんの推薦もありましたが、僕としてもケンチさんにやってもらいたかった。というのも、ケンチさんが熱心に全国各地の酒蔵を巡り、見るだけではなくお酒の仕込みにまで打ち込んでいる姿を見ていましたから。ケンチさんに「店舗プロデュースをお願いできませんか」と相談したところ、「やります」と即答してくれました。

タレントやアーティストが店舗のプロデュースを手がけるのは、珍しいことではありません。ただし、"名前を貸しているだけ”というケースもあり、“どうせ名前だけだろ”と思う人もいるでしょう。しかし、LDH kitchen IZAKAYA AOBADAIは違います。

ケンチさんは、ありったけの思いを込めて、店をプロデュースしていただきました。コンセプト作りの会議をはじめ、週3回のデザイン会社との打ち合わせにも参加。店舗の内装やメニュー開発、器選びなど、すべてにケンチさんが関わっています。メニューブックには店で出す日本酒の説明が掲載されていますが、その説明文はケンチさんが書いたもの。ここまで関わってくれるのは本当に感謝しかありません。

熱い思いがあるから、人も集まってきます。「ケンチさんと一緒に働きたい」と、料理長や日本酒のスペシャリスト、ホールスタッフが集まりました。こちらからお願いしたわけでなく、自発的に集まったのだから、お店を成功させたいという思いが強い。そうした思いは、お客様にも伝わります。ケンチさんの熱い思いによって、お店は最高のスタートを切ることができました。


LDH kitchen IZAKAYA AOBADAI
住所:東京都目黒区青葉台1丁目23-4グランベル青葉台 2F
TEL:03-6452-4725
営業時間:平日/ランチ11:30~15:00、ディナー17:00~24:00 土曜/ランチ11:30~15:00、ディナー15:00~24:00 日曜・祝日:ランチ11:30~15:00、ディナー15:00~23:30
https://www.ldhkitchenizakaya-aobadai.jp/


Text=川岸 徹 Photograph=鈴木規仁


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